こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
経団連より平成30年度の税制改正に関する提言がありました。
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/067_honbun.html#s1
その中で組織再編及びM&Aに関連するものも提言されていましたのでご紹介します。
【平成30年度税制改正大綱が公表されました】
スピンオフ税制に関する適格要件の緩和
親会社が単独新設分社型分割を行った後に適格株式分配を行う場合、親会社と分割承継法人との間の完全支配関係継続要件は適格株式分配の直前まで満たせば足りるとされ、その分割は適格となる余地があるが、仮に親会社が先に100%子会社である受皿法人を設立し、その法人に対し吸収分割により事業を移転した上で株式分配を行う場合には、その分割は株式継続保有要件を満たすことができない。受皿法人の設立には関連する免許や許認可の先行取得等、事業上の理由があることから、吸収分割によるものも適格とすべきである。また、この他にも、株式分配によるスピンオフ準備のためのグループ内再編について、幅広く適格とすべきである。
→事業運営に許認可が必要な法人や免許が必要な法人は、分社型分割によって会社分割&新設法人を同時に行うことができない。許認可や免許は一般的に会社分割を行ったからと言って自然と付与されるものではないからです。
そのため許認可事業を行っている会社が会社分割を行う場合は、事前に受け皿会社(SPC)を設立し、その会社で許認可を取得したうえで事業を吸収するという形をとるケースが一般的です。そうでなければ会社分割をしても、許認可がなく事業ができないからです。
しかしこのケースは平成29年度税制改正でもカバーされておらず、非適格分割に該当してしまいます。スピンオフを活発に行わせるためには、許認可の関係から事前にSPCを設立し、のちにSPCが吸収分割という形も税制適格にすべきだとコメントされています。
産業競争力強化法の見直しに伴う税制措置の新設・延長
産業競争力強化法は事業再編の円滑化に資する税制措置の基盤として重要な役割を果たしてきた。同法は平成30年度末に見直しの期限が到来するが、存続となることを前提に、引き続き関連する税制措置を講じるべきである。例えば、事業の組み換えを行った場合における譲渡益に対する課税の繰り延べなどが必要となる。また、現行の産業競争力強化法における登録免許税の特例については、事業再編に伴う税負担を軽減する観点から延長すべきである。
なお、事業者が特例措置の適用を受けるためには改正法の下で計画認定等のプロセスを経る必要があると考えられるが、できるだけ簡便なものとすべきである。
→以下の記事に記載しているとおり、事業の組み換えを行った場合の譲渡益に対する課税の繰延についてコメントされています。
事業の組み換えと一言にいうのは簡単ですが、どの事業を切り離し、どの会社に譲り受けてもらうのか、そして代わりにどの事業を譲り受けるのかは多くのマンパワーが必要です。要件を厳しくしすぎないようにするのがポイントかもしれません。
株対価M&Aに関する検討等
事業再編をさらに促進すべく、株対価M&A時の株主における譲渡損益に対する課税の繰り延べ措置を検討すべきである。また、LLP(有限事業責任組合)に対する現物出資時の簿価譲渡を可能とする制度を創設するとともに、LLC(合同会社)についてパススルー課税を整備すべきである。
なお、連結納税制度や組織再編税制については、今後も不断に検証を行い(例えば、連結グループの範囲、連結納税企業が研究開発税制を適用する場合の売上高の計算方法等)、必要な見直しを行うべきである。
→株対価のM&Aということは、株式を譲渡し、その対価として株式を譲り受ける場合のことだと思われます。現状の株式交換のような制度を想定しているのかと思われます。ただし、株式交換はある会社を100%子会社にするものですが、株対価のM&Aでは、100%子会社に限らないのでしょうか。。。詳細は不明なので想像です。
愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
中小企業のM&A、事業承継、スタートアップ支援を得意としています。
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