こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
自分が株主である会社が他社に買収されてしまう場合、株主さんは指をくわえてみているだけしかできないのでしょうか。
会社法上、合併に反対する株主に株式の買い取り請求権を認めています(以下は合併の場合です。)。
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株主には、株式の「買い取り請求権」がある
吸収合併消滅会社の株主には、合併に反対する場合に、自身の保有する株式の買取を請求することができます。一般的に「反対株主の株式買取請求」と呼んでいます。
吸収合併をする合併存続法人の株主にも当該権利は認められています。
買取り請求の手続き
反対株主の株式買い取り請求はただ、反対!!!と主張すれば認められるものではありません。
一定の手順を踏む必要があります。
株主の手続き
買取請求の対象となる、会社の株主総会に先立ち、
かつ、
することが求められています(会社法785条②)
事前の通知(1)と、当日の反対の主張(2)が求められているので若干めんどうですね。
そして、株主は当該合併の効力発生日の20日前から効力発生日の前日までの間に、株式買取請求権に係る株式の数を明らかにする必要があります。
株券発行会社に対して株式の買い取り請求を要求する場合には、株券の提出も求められています。
会社の手続き
消滅株式会社は、効力発生日の20日前までに、反対株主に対して吸収合併等をする旨並びに存続会社等の商号及び住所を通知しなければなりません。
反対株主が出現すると、会社にも反対株主に対する事務手続きが発生してしまいます。
撤回もできる
あまりないとは思いますが、株式買取請求をした株主は消滅株式会社等の承諾を得た場合に限り、その株式買い取り請求を撤回することができるとされています(会社法785条⑦)。
買取請求が適法に行使された場合
株主が上述の手続きを経て、株式買取請求権を行使した場合、会社は株式を「公正な価格」で買い取ることになります。反対株主が自己の有する株式を「公正な価格」での買取を消滅会社に請求することが反対株主の買取請求権だからです(会社法758条①)。
買取の公正な価格
買取価格とはいったいなんだ?当事者間での争点になりますが、非上場の中小企業の場合であれば、純資産価額を基準にしたもの等を基準に検討します(当然、将来キャッシュフローに着目したDCF法も考えられますが、事業計画書も作成していない中小企業では将来キャッシュフローを見積もることは難易度が高いです)。
税務上の取り扱い
消滅法人の株主が株式買取請求をした場合、みなし配当は生じないとされています。
当該取り扱いは、例外的なものであり、基本的には会社が自己株式を取得した場合には株主にみなし配当が課されるケースが多いので注意が必要です。
一方で、吸収合併存続法人の株主が当該買取請求権を行使した場合は、原則通りみなし配当課税の対象です。
まとめ
合併に関する反対株主の株式買取請求は、請求する本人も、請求された法人にとっても手間です…可能であるのであれば株式買い取り請求を行使する前に、話し合いで解決できるといいのになとまとめながら思いました。争いごとはよくないですね。
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