合併によるメリット②株価引き下げ効果(節税効果)

グループ会社の合併を行うことで、主に2つの効果が期待できます。

①経営の効率化(利益率のアップ)
②株価引き下げ効果(節税効果)

前回は①経営の効率化を確認したので、今回は②株価引き下げ効果について確認してみます。

合併による株価引き下げ効果とは

合併が株価の引き下げ効果を持つケースがあります。

非上場株式の株価は会社の規模によって評価方法が異なるためです。
会社の規模は大会社、中会社、小会社の3つに区分され、
大会社は類似業種比準方式、中会社は類似業種と純資産方式の折衷方式、小会社は純資産方式によって評価されます。

一般的に類似業種比準方式のほうが純資産方式に比べ、1株当たりの評価額が小さくなります。

会社規模の判定要素

取引金額、従業員数、総資産の3つの要素で会社が判定されます。
複数の会社が1つの会社となることで、取引金額、従業員数、総資産のそれぞれの上昇が見込まれ、会社規模が変更になり、株価の評価方法も変更になる。
結果として株価も下がるということです。
【例】
売上が以下のような小売サービス業の3社の合併を予定しています。

A社:2億(中会社の小)
B社:10億(中会社の大)
C社:4億(中会社の中)

それぞれの会社では売上の会社規模で判定すると、中会社に分類されます。

A社、B社、C社が合併することで売上は16億円(≧15億円)となり、大会社として評価することが可能になります。

このように会社規模を合併によって変更することで、株価の評価方法を変更することができるのです。

類似業種比準方式の算式に着目

会社規模を変更することで株価の計算方法自体を変更することができました。
類似業種比準方式による株価の計算方法は、会社の配当、利益、簿価純資産に着目した方法です。
合併により、配当、利益、簿価純資産の価額が変動することで株価引き下げ効果があるケースがあります。

【例】

A社:純資産はプラス、業績好調
B社:過去に積み上げた純資産が潤沢、最近の業績は赤字続き
C社:債務超過、毎期赤字

B社とC社は毎期赤字を計上しており、今後も赤字の見込みです。
A社は業績好調のため、3社で合併すると、A社の黒字にB社とC社の赤字をぶつけることができます。
これにより、合併後の利益が少し減少することが見込まれます。

また、C社は債務超過であることから、A社、B社、C社で合併することでA社とB社の純資産にC社の債務超過をぶつけることができます。

合併によって、B社とC社の赤字と債務超過を業績好調なA社にぶつけることができ、結果として株価の評価減になる可能性があります。

まとめ

合併によって株価の評価を下げることができる可能性があります。

しかし、合併に事業遂行上、経済合理性がなく租税回避目的が主な目的である場合は類似業種比準方式の適用が否認される可能性があります。
あくまでも、事業上の目的があった上での合併である必要がある点に留意が必要です。

また、合併後に会社の規模や業種が大幅に変更になった場合は、類似業種比準方式の適用の可否を慎重に検討する必要があります。
合併直後の株価評価には留意が必要です。

実際に株価の評価減につながるかは将来の業績予測を含めたシミュレーションが必要です。

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