こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
フリーランス・個人事業主の方は退職金がありません。
そのため事業をやめた後の生活資金は保険に加入するか、自ら積み立てておくことになります。しかし、フリーランス・個人事業主の方は保険にどれだけ加入したとしても、生命保険料控除で最大12万円までしか所得控除ができないので節税メリットはあまりありません。
小規模企業共済という制度を利用すれば、事業をやめた後の退職金相当を積み立てつつ、なおかつ、所得控除が可能です。
小規模企業共済とは?
小規模企業共済とは、個人事業をやめらたときの生活資金等をあらかじめ積み立てておくための共済制度です。小規模企業共済法に基づき、独立行政法人中小企業基盤整備機構によって運営されています。
メリット
・事業をやめたときに受け取るお金は、一括、分割、併用の3つから選択が可能です。
その時の税金は、「退職所得」または「公的年金等の雑所得」として取り扱われます。退職所得も公的年金等の雑所得も、退職後の生活のための資金であるため他の所得に比べて税負担が少ないです。
・掛け金は自由に選べます。
毎月1,000円~70,000円の範囲で自由に選べます。年間最大で84万円(7万円×12か月)の所得控除が可能になります。最大で84万円×45%(税率)=37.8万円の所得税の節税が可能です。当然、掛け金は将来一括又は分割で受け取ることができるので、大変お得な制度です。
掛け金の1年以内の前納も所得控除ができるので、期の途中(例えば2017年10月)から開始したとしても12か月分を支払ったのであれば、12か月分の所得控除を受けることができます。
・契約者貸付制度があり、払い込んだ掛金合計額の範囲内で、事業資金の貸付を受けることが可能です。
万が一資金繰りに困った場合であっても、小規模企業共済に掛け金を積み立てておけば、金融機関へ出向くことなく、資金を借りることができます。保険にも同様の制度がありますが、小規模企業共済のほうが掛け金を所得控除できる点で有利です。
・外部積み立て(自分の手元にお金が残らない)なので、引落が難しい。
簡単に引き落とすことができるお金が手元にあると、誘惑に負けて使ってしまいがちです。小規模企業共済であれば外部積み立てになるので、手元にお金は残りません。お金を引き落とすには、上述の契約者貸付制度を利用する必要があり手間がかかるので無駄遣いを防ぐことが可能です。
加入資格
主な業種の加入資格は以下の通りです。従業員の数が少ない企業が対象ですが、業種はほぼすべての業種で加入が可能です。
・建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社の役員
・商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員
留意点
・任意解約の場合は、掛け金の納付月数によって支給割合が変わってきます。
掛け金に対して100%以上の解約手当金を受取ることができるのは20年以上掛け金を納付している場合です。
一度加入したのであれば、掛け金の額を最低金額(1000円)にしてでも加入し続けることをお勧めします。
まとめ
小規模企業共済はフリーランス・個人事業主向けの退職金のようなものです。
掛け金は所得控除できるので節税効果があります。さらに、掛け金は将来自分の手元に戻ってくるため掛け捨てでもありません。
事業が軌道に乗ってきた方や将来の生活資金に不安を抱えているフリーランス・個人事業主の方は加入を検討してみてはいかがでしょうか。
愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
中小企業のM&A、事業承継、スタートアップ支援を得意としています。
創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。
【主な業務内容】
・スタートアップ支援
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・M&Aサービス
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