自社株対価M&Aが会社法の本法でも可能に!

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

TAマスター(N0761)に株式交付制度についての記事が掲載されていました。

会社法の本法においても、株式交付制度が創設されるようです。

株式交付制度とは?

株式交付制度とは、株式交換制度と同様、株式会社が他の株式会社を子会社とするため、自社の株式を他の株式会社に交付することができる制度のことです。

既に、産業競争力強化法においては、会社法の特例として措置されている制度です。

株式交付の定義

「株式交付」とは、「株式会社が他の株式会社をその子会社とするために当該他の株式会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付すること」と定義されました。

株式交付計画が必要

株式交付を行う場合には、以下の事項を記載した株式交付計画を作成する必要があるようです。

1.株式交付子会社の商号及び住所

2.株式交付親会社が株式交付による譲り受ける株式交付子会社の株式の株の下限

3.交付する株式交付親会社の株式の数又はその数の算定方式並びに当該株式交付親会社の資本金及び準備金の額に関する事項

4.株式交付親会社の株式の割り当てに関する事項

株式移転を実施する場合も株式移転計画の作成が求められています(会社法772条)。

手続き:株式交付親会社

株式交付子会社の株式の譲渡しの申し込みをしようとする者に対し、

株式交付親会社の商号や、株式交付計画の内容などを通知する必要があります。

手続き:申込者

株式交付子会社の株式を譲り渡しを行う者は、譲り渡そうとする株式交付子会社の株式の数等を株式交付親会社に書面で交付します。

この点、株式交付親会社は法律上当然に株式を取得するわけではなく、個別に譲り受けることになるようです。

現行制度との違いは?

株式を対価とするM&Aは株式交換が一般的です。今回の株式交付制度との違いについて検討してみます。

現行制度上、株式交換は完全子会社の場合のみ

ある買収希望企業が、株式を対価として対象会社を買収しようとする場合、株式交換を用いることが一般的でした。

ただし、株式交換には以下制約がありました。

1.対象会社が「株式会社」である必要がある2.株式交換は、対象会社の発行済株式の全てを取得することとされている

このため、対象会社を100%の完全子会社とすることまでは検討していない場合においては株式交換を利用することができず、現物出資財産として募集(つまりは、買収会社が増資を実行する対価として対象会社の株式を取得する)必要がありました。

現物出資スキームの障害

株式交換スキームを利用できず、現物出資の方法を採用するには少しハードルがあります。

・検査役の調査が必要

・対象会社の株主と買収会社の取締役等が財産価額填補責任を負う

検査役の調査には時間と費用がかかります。

株式交換にも一定の手続きが求められている点や、株式交付にも、株式交付計画の作成や株主総会等が求められている点を考慮すると、現物出資スキームにおいて求められている検査役の調査等の手続きと比較して、どちらが手間なのかは会社によるところが大きいのではないでしょうか。

まとめ

現状、株式交付制度に関する税務上の取扱い(課税の繰延措置)が講じられているわけではありません。今後の税制改正により、株式交付制度に関与する方々の、課税の繰り延べができるようになれば、新たなM&Aスキームの検討が可能になるのではないでしょうか。

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