【平成31年税制改正大綱】法人税編のざっくりまとめ

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

先週の金曜日に税制改正大綱のざっくりまとめ(所得税・資産税)の続きです。今回は法人編。

【平成31年税制改正大綱】個人所得税・資産税編のざっくりまとめ

個人的には法人編は、「そうなのか、ほうほう…」っていうような改正ばかりでした。

研究開発税制の見直し

試験研究を行った場合の税額控除制度として研究開発税制があります。

こちらが今回の改正で、拡充されるようです。

・研究開発を行う一定のベンチャー企業の控除税額の上限が、法人税額の40%(現行25%)に引き上げられます。

*研究開発を行う一定のベンチャー企業:設立後10年以内の法人のうち、当期において翌期繰越欠損金額を有するものをいう

・試験研究費の額が平均売上額の10%を超える場合における試験研究費の総額に係る税額控除制度の控除税額の上限の上乗せ特例が、2年間延長されます。内容にも変更あり。

・試験研究費の総額に係る税額控除制度の税額控除率の上限が14%(現行10%)とする特例期限を2年間延長されます。

等など他にもありますが、長くなりすぎるの割愛します

中堅・中小・小規模事業者向け

・法人税の軽減税率の特例の適用期限が2年延長

・中小企業投資促進税制の適用期限を2年延長

・特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却または税額控除制度(中小企業経営強化税制)の適用期限を2年延長。特定経営力向上設備等の範囲の明確化および適正化も。

・特定中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却または税額控除制度について、経営改善設備の投資計画の実施を含む経営改善により売上高又は営業利益の伸び率が年2%以上となる見込みであることについて認定経営革新等支援機関等の確認を受けることが適用要件に加えられる、適用期限が2年延長。

・青色申告書を提出する中小企業者のうち、中小企業等経営強化法の事業継続力強化計画または連携事業継続力強化計画(仮称)の認定を受けたものが、平成33年3月31日までの間に、その認定に係る事業継続力強化計画または連携事業継続力強化設備等の取得等をして、事業のように供した場合には、取得価額の20%の特別償却が可能。

地方税:特別法人事業税

地方税に、特別法人事業税が導入されます。それに伴い、法人事業税の税率が改正されます。

こちらの改正は、平成31年10月1日以後に開始する事業年度から適用です。

仮想通貨関連

法人税における仮想通貨評価方法等に、時価法が導入されることになりそうです。

・活発な市場が存在する仮想通貨:時価評価により評価損益を計上する

・法人が仮想通貨の譲渡をした場合の譲渡損益の計上タイミング:契約をした日の属する事業年度

・原価の計算方法:移動平均法(法定算出方法)、総平均法

・信用取引:未決済の仮想通貨の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上する

*つまり、仮想通貨の含み損を法人で多額に抱えている方々にとっては評価損で節税できるかもしれないということです。評価損で節税が、喜ばしいことかどうかは別として…

組織再編税制

再編関係は2つほどでした。

・株式交換等の適格要件

株式交換等の後に株式交換等完全親法人を被合併法人とし、株式交換等完全子法人を合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、その株式交換等にかかる適格要件のうち完全支配関係継続要件、支配関係継続要件及び親子関係継続要件について、その適格合併の直前のときまでの関係により判定する。

・株主の譲渡損益の繰延

合併、分割及び株式交換に係る適格要件並びに被合併法人等の株主における旧株の譲渡損益の計上を繰り延べる要件のうち、対価に関する要件について、対象となる合併法人等の親法人の株式に合併法人等の発行済株式の全部を間接的に保有する関係がある株式を加える

まとめ

試験研究費の特別控除は適用できる方が限られますし、仮想通貨を法人で保有している人も組織再編税制で後に株式交換等後に合併するケースも多いわけではない…

といった、常日頃遭遇する論点ではないような改正が多いような気がします。逆に、遭遇してしまった場合には要注意なので、気をつけなければいけませんが。

条文がでてきたら、改めてしっかりと読み込んでみたいと思います。

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