【平成30年度税制改正大綱】小規模宅地等特例(家なき子・貸付事業用)

【経過措置があるようです(2018年2月13日追加)】

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。 平成30年度税制改正では小規模宅地特例の厳格化がありそうだと、以前の記事でご紹...

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こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

平成30年度税制改正大綱において、小規模宅地等特例の要件が厳格化されてしまいました。

これは以前お伝えした通り、形式的に小規模宅地特例の適用要件を充足する形を作り出す、節税スキームが横行していました。それを防止する改正であります。

【以前の小規模宅地等特例スキームはこちらをご覧ください】

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。 T&Amaster715号に気になる記事が掲載されていました。 一般社団...

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現行制度上の「家なき子」要件

満たすべき要件

今までは①と②の要件を満たせば(適用ができる人である必要はありますが)、小規模宅地特例を適用し80%の評価減の適用を受けることが可能でした。

①被相続人に配偶者がいない

②相続開始前3年以内に日本国内にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがないこと

適用ができる人

③相続開始時に、被相続人が日本国籍を有し、日本に住所を有していること

相続開始の時において、被相続人が一時居住被相続人、非居住被相続人又は非居住外国人であり、かつ、取得者が一時居住者又は日本国籍及び日本国内に住所を有していない人ではないこと。

(出典:国税庁HP)

④被相続人の住んでいた家屋に居住していた相続人である親族がいないこと

被相続人に、相続開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族でその被相続人の相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人)である人がいないこと

(出典:国税庁HP)

⑤その宅地等を相続税の申告期限まで有していること

要件の厳格化

平成30年4月1日以後に相続または遺贈により取得する相続税については、要件が厳格化されます。

除外

以下のケースでは、持ち家に居住していない者であっても、特定居住用宅地等の特例の対象者範囲から除外されることになりました。

(1)相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者

(2)相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者

これらの除外規定により、

・形式的に「家なき子」要件を充足するために、一族で経営する法人へ自宅を売却し、社宅住まいとなり、家なき子状態を創り出すスキーム

・親族に持ち家を譲渡等し、自身は賃貸物件に居住して家なき子状態を創り出すスキーム

等が使えなくなりました。

改正後も適用できるケース

除外される(1)と(2)から適用ができそうな場合を考えてみます。

【今後除外される持ち家に居住していない者】

(1)相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者

(2)相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者

(1)相続開始前3年以内に、3親等内の親族等が保有する家に住んでいない

→つまり、第三者が貸している賃貸物件に3年以上居住している必要がある。

(2)相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者

→過去に所有していた物件に、どのような形式であれ、相続開始時に住んでいてはいけない…

(1)と(2)から、過去に所有していた物件を親族や同族会社に売却し、そこに賃貸という形式で済むスキームが防止されました。

小規模宅地特例を活用するのであれば、相続開始時に第三者から物件を賃借している必要がありそうです。

おまけ(貸付事業用宅地)

貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業のように供された宅地が除外されました。相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が当該貸付事業のように供しているものは除かれるようです。

現金をそのまま保有しているよりも、その現金を不動産としたほうが相続税法上の評価額は下がります(少し前の流行ったタワマン節税も同じようなルールです)。

不動産のなかでも、貸付不動産であれば小規模宅地等の特例の適用が受けられるため、相続直前に貸付不動産を建設し相続税法上の評価額を引き下げているケースが目に余るため、今回の税制改正で当該節税方法が防止されてしまうようです。

まとめ

税制改正によって、1年前までは税法上問題ない(当然グレーも含みます)とされていたスキームが突然防止されてしまうことがあります。

今回の小規模宅地等の特例もその典型例ではないでしょうか。

相続税等は正直、相続の発生がいつ生じるのか誰にもわかりません。その時の税制がどのようなものかも当然不明です。

多くの節税スキームが、税制改正でその都度防止されてきました。節税にばかり目を向けて、経済合理性のない取引はやめておいた方がいいのだなと考えさせられた税制改正大綱でした。

愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
中小企業のM&A、事業承継、スタートアップ支援を得意としています。
創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。

代表プロフィール

【主な業務内容】
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◇メール、チャットワーク対応がメインの顧問契約「コスト重視プラン」始めました。

このような方がコスト重視プランの対象です

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といった要望にお応えし、コスト重視プランを始めました。



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はじめまして。愛知県名古屋市池下の公認会計士・税理士澤田憲幸です。

起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。

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