【ベンチャー】ストックオプション税制が拡充し、より使い勝手が良くなるかも【平成31年度税制改正】

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

TAマスターNo753にベンチャー企業にとっての朗報記事が掲載されていました。

平成31年度税制改正でストックオプション税制の拡大検討がされるようです。

現行のストックオプション税制のおさらい

税務上の取扱いでは、ストックオプションには2種類あります。

税制適格と税制非適格のストックオプション

税制適格ストックオプションに該当すると、売却時点まで課税が繰延べられます。さらに売却時点の税率は約20%で一定です。

税制非適格ストックオプションは、権利を行使した時点で行使時の時価が権利行使価額を上回っている部分が給与所得課税(最大55%の税率で課税)されます。

また、株式を売却した時点で、譲渡価額権利行使時の時価との差額が譲渡所得課税(約20%の課税)されます。

税制適格ストックオプションの要件

ストックオプションが税制適格として認められるためには、以下の要件を満たす必要がありました。取得者の要件と、発行及び権利行使の要件に分けてみてみましょう。

取得者の要件

【対象付与者】

・自社の取締役、執行役、従業員

・関連会社の取締役、執行役、使用人

【株式数】

付与決議日において、大口株主及び当該大口株主の特別利害関係者ではないこと。つまり、非上場会社(未公開会社)の場合、付与決議時に、発行株式総数の3分の1超を保有していないことが要件です。

発行及び権利行使要件

・無償で発行されたもの(金銭の払込をさえないで発行されたもの)

・新株予約権の権利行使は、付与決議の日後2年を経過した日から当該付与決議の日後10年を経過する日までに行われること

・新株予約権の1株当たりの権利行使価額が、付与契約締結時における株式時価以上であること

・新株予約権の権利行使による、株式の交付が会社法に違反しないで行われること

・新株予約権の譲渡が禁止されていること

平成31年度のストックオプション税制の拡充

ストックオプション税制のうち見直しの対象となりそうなのは、以下の項目のようです。

1.付与対象者の拡大

2.権利行使価額の上限引き上げ

3.権利行使期間の見直し

1.付与対象者の拡大:兼業者も適格SOの付与対象者に

付与対象者の範囲が、自社の取締役、執行役、使用人等に現行制度上は限定されていますが、ベンチャー企業では外部の専門家等のサポートを受けるケースが非常に多いです。

この外部の専門家のサポートを創業からアーリーステージで受けることが多いという実情を踏まえ、税制適格ストックオプションの付与対象者に、兼業者等を加える案が浮上しています。

2.権利行使価額の上限引き上げ:2倍以上引き上げか

現状の税制適格ストックオプションの権利行使価額は「年間1200万円を超えない」ことが条件となっています。

ただ、この権利行使価額の上限が1200万円はが低すぎるという指摘が多方面からあるため、当該上限価額を2倍以上引き上げる案が浮上しているようです。

3.権利行使期間の見直し

現行制度上、「付与決議後2年~10年」の間に権利行使することが適格要件であるが、権利行使期間の見直しも検討される可能性があるようです。

ベンチャー企業の定義に注目

ベンチャー企業が対象の税制適格ストックオプションを対象として、税制改正が行われるようです。

そもそもベンチャー企業とは?というベンチャー企業、スタートアップ企業の定義づけをどのようにするのか?

未上場であれば、中小企業もベンチャー企業?、あまりベンチャー企業のハードルを高くしすぎるとストックオプションの適格要件を拡充しても利用者が増えないことにもなりかねません…

ストックオプションの設計にもコストがかかるので、簡便的なストックオプション税制になることを今の時点から祈っておくことにします。

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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
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はじめまして。愛知県名古屋市池下の公認会計士・税理士澤田憲幸です。

起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。

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