【法人/スタートアップ】役員報酬の決め方

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

法人設立時に悩ましいのが、資本金の額と役員報酬の金額の決め方です。

役員報酬の決め方は、法人設立時でなくても、悩みます。とはいえ、法人設立時第1期の役員報酬の設定が一番難しいです。

今回は役員報酬の考え方についてご紹介します。

役員報酬は1年間は原則固定。中小企業もベンチャー企業も大企業も同じ。

取締役等の役員へ支払う報酬は、1年間固定である必要があります(例外もありますが、詳細はこちらでは割愛します)。

一般に定期同額給与と呼びます。

定期同額給与に該当しない金額は、損金の額に算入できない(=経費にならない)のです。

取締役がいつでも・自由に報酬を変更できると、法人の利益が出た場合にはボーナス、法人の利益が出ない場合には、報酬を下げる等することで法人税の額が調整できてしまうためです。これを防止するため、役員報酬は定期同額である必要があるとされています。

年に一回しか決めることができないため、非常に悩ましい問題なのです。

役員報酬を沢山もらうとどうなる?

株主総会で役員報酬を決めますが、未上場の企業では取締役と株主は同一であるケースが多いと思います。以下は、役員=株主を前提に話を進めます。

役員報酬が多額の場合

役員報酬を沢山もらうと、会社にお金が残らなくなります。

その分だけ、役員手元にはお金が残ることになります。

個人のお金であれば、自由にお金を使うことができます。これは経費になるかな…といった心配は一切不要です。

役員報酬が少額の場合

反対に、役員報酬をあまりもらわないと、その分だけ会社にお金を残すことができます。

会社にお金が残る=純資産が厚くなる、ということなので銀行等の金融機関からの心証は良くなります。金融機関との取引を考えているのであれば、会社にお金を残すことを検討するのも良いかもしれません。

一方で、役員報酬が少額の場合は、役員の生活が厳しくなります。会社にはお金があるけど、自由に使えるお金が少ない…どうしようといったことが生じてしまうのです。

バランスが重要

役員報酬の決め方は、中小企業とスタートアップでは考え方が異なります。

中小企業の場合

毎年、業績がそれなりに安定している中小企業であれば、例年の傾向と将来予測が立てやすいです。

会社の方針として、1)会社にお金を残すのか、2)個人にお金を残すのか、それとも3)税金等を最も抑える金額にするのかを決定する必要があります。

税金のことを考えないのであれば、1)会社にお金を残す、と、2)個人にお金を残すでは、好きな金額に設定すればよいと思います。

会社の業績を勘案して、あまりにも高額すぎるのはナンセンスですが。

3)税金等を最も抑える方法は、役員=株主の場合は、法人税、所得税、社会保険料等の観点から総合的に検討することになります。

3)税金等を最も押さえたい場合であっても、役員報酬が想定よりも低くなるケース等では役員陣が納得できない場合があり、これが役員報酬の設定が難しい理由の一つです。

*冒頭に将来予測が立てやすいといいましたが、予測通りに経営することは非常に難しいです。売上予測の正確性は、非常に重要です。節税は期末ギリギリになってできるものではないからです。

スタートアップやベンチャー企業の場合

スタートアップや起業したばかりは、今後の見通しがつきません。事業計画上はバラ色の未来を想像しているかもしれませんが、現実はわかりません。

となると、起業したばかりで役員報酬を高額に設定するのは非現実的。とはいえ、役員報酬がなければ生活できません(よっぽど貯蓄や資産があれば話は別ですが)。

個人的には20万円~30万円/月程度の役員報酬であれば良いと考えています。会社の経営も大切ですが、プライベートも大切です。

奥様から生活費がないと言われるとグサッときますからね。。

スタートアップの場合は、法人税と所得税の税率や社会保険料を検討する前に、手取りでいくら最低欲しいかが重要かと。

まとめ

役員報酬の決定は、将来の予測が正確にできることが大前提として必要です。

何年も経営している中小企業ですら経営の将来予測を立てることが難しいのです。スタートアップ企業はより一層難しいです。

役員報酬を適切に設定するためにも、適切な事業計画と会社の方針を定めるようにしましょう。

事業計画と会社の方針が定まれば、あるべき役員報酬の金額も見えてくるはずです。

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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
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起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。

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