【スタートアップ】法律も気にしましょう。会計・税務と同じぐらい重要です!

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

日弁連が創業支援パンフレットを公開しました。

パンフレットの題名はズバリ、

「創業者が知っておきたい8つの法的ポイント 起業で失敗したくないあなたへ!!」です。

創業者は、事業を軌道に乗せることはもちろんですが、創業当初は専属の人を雇うお金もないので、会計・税務・法務・労務等についても検討する必要があります。

会計・税務は社長は公認会計士・税理士と付き合うものだという認識があるからか、比較的顧問の会計士・税理士探しをしている方が多い印象です。

一方、法務は本当に困ったとき以外は必要ないと考え、弁護士と顧問契約を締結していないケースが非常に多いです。

日弁連の公表したパンフレットは、創業者が知らなかった~、知ってたら対応できたのにという8つのパターンが紹介されているので起業家・スタートアップの経営者の方にぜひ読んでいただきたいです。

内容を確認してみます。

1.仲間と起業。仲間割れによるリスクを防ぐには?

非常によくある話です。

友人と起業しました。当然、お互い、フェアにしようという話から、株式の割合は50%ずつ。

その後、会社の経営方針の違いから、仲間割れ…とはいえ、株式の割合は50%ずつであり、株主総会の普通決議もできないという困った状況。

退職する元仲間からは株の買い取りを要求されてしまっている…

というお話です。

このケースは、会社設立時に公認会計士や税理士に相談をしないで、自分たちがよかれと思って会社設立してしまったパターンです。そしてこの類のお話は、よく耳にします…

これは株式会社の意思決定の基本ルールについての知識不足が原因です。

株主総会の普通決議は過半数(51%)以上

役員報酬の決定、剰余金の配当、決算書類の承認等については、株主総会の普通決議による承認が必要です。

株主総会の特別決議は2/3(67%)以上

定款の変更や、組織再編、事業譲渡、資本金の減少等の、会社に大きく関係する事項については、株主総会の特別決議が必要とされています。

株を半分の50%ずつ保有している場合は、この特別決議に関する決議ができない…ということになってしまうのです。

例えば、定款を変更したいんだけど、元共同創業者は株主総会に賛成してくれないという事態が発生する懸念があるのです。このような事態になってしまうと、会社として完全に身動きが取れなくなってしまうのです。

だからこそ、出資比率は本当に重要で、センシティブな問題なのです。

2.そのビジネス、本当に許認可を受けなくても大丈夫?

事業を運営するにあたって、許認可が必要なビジネスがあります。

例えば、人材派遣業や旅館業法等です。

わかりやすい例で言えば、海外ではAirbnbの民泊が流行っていますが、日本では幅広く普及しているとまでは言いずらい状況です。

これは日本の許認可制度が関係しています。

日本では旅館業法というものがあり、人を宿泊させたりする場合には行政の許認可を得る必要があるのです。これを守らないと最悪の場合、逮捕されてしまう可能性があるようです。

正直、ビジネスを開始するにあたり、ここまでケアできている創業者の方は多くないと思います。素晴らしいと思ったビジネスプランが、まさか許認可の壁に引っかかるとは誰しも思い宅もないでしょうしね。

ただ、日本の制度上、許認可が必要なものは必要なものなので、許認可を得る他、どうにもなりません。こんなはずじゃなかった、、、とならないように、良いビジネスアイディアを思いついたのであれば、一度弁護士に相談してみることをお勧めします。

3.商標、きちんと意識していますか?

商標権の侵害という言葉を耳にしたことはありませんか?

この商標権の侵害も、うっかりやりがちです。

他社の登録商標と完全に一致していなくても、類似する名称やロゴは商標権の侵害になるとされているようです。

さらに、他社の商品名等が商標登録されていなくても、不正競争防止法違反として差止めや損害賠償を求められるケースがあるとパンフレットでは紹介されてます。

これは!!と思う商品を販売する場合は、できるだけ早期に商標登録することをお勧めしますとのことです。

4.良い取引だからこそ、しっかりとした契約を結ぼう

契約書の締結は、お互いの責任範囲を明確にすることにもつながります。

契約書に記載されるのは、業務の内容、対価、その対価の支払い日、納期等、守秘義務等であり、全てが自社にとって有利な規定だけではありませんが、自社を守ってくれる契約内容も当然あります。

契約書を締結することで、口約束ではなく、書面にやりとりを残すことができるため、後日言った言わないという、出口の見えない議論を避けることが可能になります。

スタートアップを立ち上げたばかりの創業者の方の多くは、契約書を読み込んだことがない方が多いと思います。

このような場合に役に立つのが弁護士さんです。契約に有利不利がないかの確認を法律の専門家として確認してくれます。

忘れてはいけないのが、契約書には税務リスクも内包しているということです。各種の取引は契約書に基づいて実行されます。

その取引を数字として表現したものが、会計であり、税務です。

法律と会計と税務は全て有機的につながっているので、あらゆる視点からの確認をすることをお勧めいたします。

5.ホームページやソフトウェアの製作を依頼された。契約を結ぶ際の注意点は?

契約の種類としては、「請負契約」と「製作物供給契約」の2つがあります。

◇請負契約:請負人が一定の仕事の完成を約束し、注文者がその仕事の完成に対して報酬を支払う契約。

請負契約では、仕事の完成の定義、成果物の完成の条件等を明確に注文者と協議する必要があります。この点が曖昧であると、請負人は完成したと思っていても、注文者が不満に感じて、報酬を支払ってもらえない等のトラブルのもとになります。

◇製作物供給契約:請負契約と似ているが、大きく請負契約と異なる点は当事者の意思とのことです。製作物供給契約は、物の製作という請負契約と、物の供給という売買契約の性質を兼ねているため、契約上準拠すべき民法の規定が曖昧になりがちです。

そのため、請負契約以上に契約書の重要性が高いとされています。

6.店舗を経営するときはどのような契約が必要?
~賃貸借契約、請負契約、フランチャイズ契約の注意点~

店舗を運営するにあたっては、各種の契約が必要です。

代表的なものとしては、店舗を借りるための、賃貸借契約、店舗の内装工事を発注する際の請負契約、コンビニ等のFCに加盟するのであればフランチャイズ契約を締結することになります。

賃貸借契約も、フランチャイズ契約も契約内容をしっかりと読み、十分納得したうえで契約を進める必要があります。

フランチャイズ契約は、特に重要で、本部に支払う等のロイヤルティの計算方法次第では、自分たちの手元に利益がほとんど残らない契約になっているケースもあるため、ロイヤルティの支払うを含めた詳細な利益計画を立てる必要があります。

7.ウェブサイト上で商品やサービスを販売する場合の留意点は?

インターネット上で取引を行うにあたっては、特定商取引法、個人情報保護法、利用規約を定める等、留意すべき事項が沢山あります。

特定商取引法上では、広告を行う際に一定のルールを定めており、一定事項を表示することが義務付けられています。

個人情報保護法では、個人情報を取得する際には、その利用目的を特定し、予め公表するか、本人に知らせる必要があるようです。

利用規約を定め、利用者の同意を得ることで、ウェブサイト上での取引に契約書のようなものを導入することができます。

リアル世界のビジネスとは異なる点に、インターネット上のビジネスでは留意する必要があるということです。

詳細は、インターネット関連に詳しい弁護士さんに相談することをお勧めいたします。

電気通信事業法や、今まで聞いたことがない法律に関する届出書を提出しなければいけなかった!ということが明らかになるかもしれません。

8.従業員を採用するときの注意点や請負・業務委託の注意点は?

他の人に仕事をお願いするにあたっては、人を雇う、一部の業務だけを依頼する等の様々な手段があります。

正社員の従業員として入社してもらうのであれば、会社と従業員は雇用契約を締結することになりますし、派遣社員を受け入れるのであれば、派遣契約、一部業務を外注に出すのであれば、請負・業務委託契約を締結することになります。

各契約形態に応じて、準拠する法律や注意すべき点が異なるので、契約状況に応じ適切な契約をしていくことをお勧めいたします。

まとめ

創業期に確認すべき法律…思った以上にたくさんあります。

知らないままで契約してしまった、共同創業者と50%ずつで会社を設立してしまった、どうしようというケースも少なからずあるとは思います。

これらは、全て、弁護士や会計士、税理士にあらかじめ相談しておけば防げたことかもしれません。ある事象が発生してから悩むのか、ある事象が発生しないように事前に相談しておくのか、どちらが物事を有利に進めることができるかは明らかではないでしょうか。

スタートアップ経営者といえども、経営者は経営者です。リスクヘッジできる点については、多少お金を払ってでもリスクヘッジすることを私はお勧めいたします。

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顧問契約の他に、会計・税務に限らない、個別コンサルティングも行っています。 個別コンサルティングでは個別税務相談をはじめとし、会計士試...
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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。
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【主な業務内容】
スタートアップ支援
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税務顧問業務
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はじめまして。愛知県名古屋市池下の公認会計士・税理士澤田憲幸です。

起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。

会社設立直後で税金・会計・財務まで手が回らない経営者の方、今の顧問税理士にご不満のある方、事業承継対策に悩んでいる方、M&Aの話を金融機関等から提案されたが得な話か損する話か判断ができない方は一度ご相談ください。

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