【研修】統一研究会に出席してきました。伊川正樹名城大学教授

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

名古屋税理士会主催の研修会「第3回全国統一研修会」に出席してきました。

今回は、所得税の諸問題-必要経費と給与所得・源泉徴収義務を中心に-という内容でした。

法的三段論法

法的三段論法の考え方が非常に重要だよ、というお話からスタートしました。

法律の条文は、要件と効果から成り立っており、

1.条文:要件の解釈

2.事実の要件への当てはめ

3.結論

このような形で、法的三段論法は進めていきます。

1.条文:要件の解釈

については、税法の世界は、租税法律主義!ということで、まずは条文の内容の解釈をしましょうということです。

2.事実の要件への当てはめ

具体的事実関係を整理して、要件つまり条文に当てはめてみましょう、ということです。

今回の研修では、

1.弁護士が支払った懇親会費や2次会費用

2.弁護士/司法書士が加入したロータリークラブの入会金・会費

3.贈与によって取得した不動産を賃貸して、不動産取得を得ています。この不動産を贈与によって取得した際に支払った贈与税

4.課税処分取消訴訟の提起・追行に要した弁護士費用

がテーマでした。これらのテーマに基づいて、実際に生じたことを要件に当てはめていくのです。

弁護士会の懇親会の会費

弁護士会の懇親会の会費が必要経費として認められるのか、という点が論点になったことがあります。

弁護士会の懇親会なので、当然経費としていいのではないかと思いたくなるところ、必要経費として認められなかったというものです。

必要経費の要件

この点、必要経費の要件として、第1審と第2審では要件についての考え方が異なります。

第1審の東京地裁では、支出と業務とが直接関係していること+支出が業務上必要であることの2つの要件が求められていました。

ところが控訴審の東京高裁では、支出と業務が関係していること=支出が業務遂行上必要であることという1つの要件のみでよいとの判断を下しております。

地裁判決では必要経費として認められるには2つの要件が必要で、高裁判決では1つの要件でOKということです。

裁判所によっても判断が変わるので、現場レベルでの判断はより難しいです…安全策をとるのであれば2要件を充足するもの以外は必要経費として計上できない、という厳しい話になってしまいます。

業務該当性

地裁・高裁ともに、弁護士会の活動は「業務」には該当しないものとしています。

業務該当性は、所得税法第37条1項に記載があります。赤字と黄色ハイライトは追加しています。

(必要経費)
第三七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。

ここに、業務について生じた費用と記載があるため弁護士会の活動が「業務」に該当するか、が論点になるのです。

地裁・高裁ともに業務には該当しないとしているものの、必要経費性についての見解は異なっています。

地裁:弁護士会等の活動は事業には該当しないため、事業所得を生ずべき業務に直接関係して支出された必要経費であるということはできない→活動が事業/業務に該当するかどうかという支出と業務の直接関係性を重視しています。

一方で高裁は少し違った見方をしています。

高裁:弁護士会等の活動が業務に当たらないとしても、事業所得を生ずべき業務の遂行上必要な支出であれば、その事業所得の一般対応の必要経費に該当することができる…支出と業務が関連するかどうか

このように高裁では、事業所得を生ずべき業務の遂行上必要な支出であれば、必要経費に該当する(1要件説)としています。

活動が事業に直接関係していなければ必要経費として認めないという(2要件説)よりも幅広く納得感のあるものになっています。

支出金額の多寡も重要

この弁護士さんは、出席している弁護士さんの分の懇親会費や宿泊費も支払っており、支出の絶対額が大きかったようです。

自分の分だけであれば、論点になることはなかったかもしれません。支出金額の適切さや、家事費との区別も重要だとのことです。

税務調査でも収拾がつかず、裁判になるような論点は、事案により前提条件がことなるため、非常に難しいなと感じました。

先ほども申し上げた通り、1人分の数千円であれば裁判で争うなんてことはなかったはずです。判例があるからといって、その結論だけを鵜呑みにしてはいけないな、と改めて感じました。

まとめ

研修の冒頭で、伊川先生がSNS等で拡散してくださいとおっしゃっていたので、私は記事にしてみました。

所得税の必要経費性の問題は、なんでかなぁと思うような内容が非常に多いので研修で考え方等を教えてもらえると大変役立ちます。とてもよい研修でした。

別の内容の研修もぜひしていただきたいです。

仕事が落ち着いてきたら、大学院でゆっくり税法の勉強をしたいなと改めて感じました。

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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
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起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。

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