【節税】青色事業専従者給与:期の途中で配偶者を雇って節税したい。

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

個人事業主の方の中には、期の途中(例えば、8月で奥様が退職し、9月から本格的に手伝いをしてくれる等)から奥さんに給与を支払いたいというニーズがあるのではないでしょうか。

このような場合にも、奥様に対して支払った給与は経費として認められるのでしょうか。

青色事業専従者給与に関する届出書:個人事業主が親族に給与を支払うには届出が必要

フリーランスとして活躍している個人事業主の方が、親族に支払った給与を経費計上するためには、青色事業専従者給与届出を税務署に提出する必要があります。

期限内提出がマスト!

青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日までに提出する必要があります。

提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が提出期限です。

確定申告書の提出期限と同じです。

青色事業専従者給与は3月15日までに出せば、1月から給与を支給していても経費計上できるということです。

例外!!期の途中からでもOK

実はこの届出書、例外規定があります。

1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることになった人は、その日から2か月以内に届出書を提出すればOKなんです。

つまり、9月1日に新たに親族に仕事をしてもらうことにしたのであれば、10月末までに届出書を提出することで、親族に支払った給与を経費計上することが可能です。

フリーランスの方が青色申告の届出書を提出している場合、一定の要件を満たせば配偶者に給与を支払うことで経費を増やすことが可能です。その結果、節...

なお、青色事業専従者に該当するための要件の一つとして、親族が事業に専ら従事するのか?が論点になります。

親族が事業に専ら従事するかどうかの判定として、

専ら従事する期間がその年を通じて6月を超えるかどうか

という判断基準があります。

期の途中から(例えば9月から)働いた場合は12月まで3か月しかありません。

専ら従事の要件を満たすのでしょうか??

この点、国税庁のHPに回答が以下のよう回答があります。

青色事業専従者の判定に当たって、事業に従事する者が相当の理由により事業主と生計を一にする親族としてその事業に従事することができなかった期間がある場合には、従事可能期間の2分の1を超える期間専ら事業に従事していれば足りるものとされています(所得税法施行令第165条第1項第2号)。

この「相当の理由」には就職や退職も含むと解されます。

したがって、照会については、退職したときから年末までを「従事可能期間」とし、その2分の1を超える期間専ら事業に従事している場合には、その間に支払った給与は青色事業専従者給与として必要経費に算入されます。

https://www.nta.go.jp/law/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/04/10.htm

一般企業に勤務している奥さんが、ご主人の事業を手伝うために退職したのであれば、9月からの勤務であっても青色事業専従者給与の要件を満たすことになります。

ただ、9月から12月は事業に専ら従事している必要がある点はご注意ください。

期の途中からの支給は節税にならないかもしれない

青色事業専従者給与の届出を提出することで、個人事業主の方の経費の金額を増やすことができます。

ただし、実は注意点があり、青色事業専従者として給与の支払いを受ける人は、支払いを受ける給与の金額に関わらず、控除対象配偶者や扶養親族になることができません。

配偶者控除は最大38万円の所得控除を受けることができます。

期の途中から支給する金額が38万円未満なのであれば、配偶者控除を受ける方が節税の観点からは望ましいということになります。

実務上、専従者給与を8万円の支給とするケースがありますが、この場合は少なくとも5か月分は支給(つまり、8月から12月までの5か月×8万円)を支給しなければ節税したつもりになってしまうのです。

変更届出はいつでも出せる

基本的に青色事業専従者給与に関する届出書は、一度提出すればよく、毎年提出する必要はありません。

届出内容に以下のような変更があった場合、変更届出書を提出する必要があります。

  • 専従者が増える
  • 給与の支給時期を変更する
  • 支給金額を増額させる

この変更届け出は、いつでも(事業年度の途中でも)提出することができます。

変更後遅滞なく届出書を税務署へ提出する必要はあります。

遅滞なく、、というのは、変更後の給与を最初に支給する日までには提出しておくことが望ましいと思われます。変更後の給与支払い後だと、文句を言われる可能性があるためです。

支給金額を増額させる場合には合理的な説明が必要

当然ですが、支給金額を増額させるためには、合理的な理由が必要です。

届出書さえ提出すれば自由自在に青色事業専従者給与の額を変更できるわけがありません。仮に可能だとすると、そもそも届出って必要なの?という話になります。

支給金額を増額させるための合理的な理由例

1.業務上必要な資格を取った。税理士の専従者である奥様が、簿記1級を取得した等

2.他の従業員の給与のベースアップがあった 等

減らすことも可能

青色事業専従者給与届出書に当初記載した金額よりも、支給額を減額することは可能です。

専従者給与は、届出書に記載されている方法により支払われ、しかもその記載されている金額の範囲内で支払われたものであることが要件とされています。

記載した金額の範囲内であれば、変更届出書の提出をすることなく、減額しても問題ありません。

例:届出書の記載金額は15万円と記載したが、思った以上に売上が伸びない…支給金額を8万円にしよう。

これは特に問題がないと思います。

数か月後に業績が戻り、15万円支払えるようになったのであれば、8万円の支給を15万円に戻すことは可能です。

15万円ではなく、20万円支給する場合は、変更届出書の提出が必要です。

自由自在に増減しても大丈夫か?基本は定額。

「届出書の範囲内であれば、自由自在に金額を毎月変更してもOKか?」と質問されることがありますが、この場合は極力同額でお願いしますと回答しています。

利益操作を防ぐための制度ですので毎月支給額を変更していては利益操作を行っているとみなされる可能性があるためです。

まとめ

期の途中から支払った専従者給与であっても、経費として認められます。

事業の状況次第では支給金額を増加させることも、減少させることも可能です。当然、それなりの説明ができる必要がありますが。

フリーランスの方で配偶者の方に手伝ってもらっているのであれば、ぜひこの制度を活用してみてはいかがでしょうか。

妻が育休を終えて、保育園に入れず職場を退職…というケースはまさに今回ご紹介したパターンに該当しますので失念しないようしてください!

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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。
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起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。

会社設立直後で税金・会計・財務まで手が回らない経営者の方、今の顧問税理士にご不満のある方、事業承継対策に悩んでいる方、M&Aの話を金融機関等から提案されたが得な話か損する話か判断ができない方は一度ご相談ください。

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