【小規模宅地特例】貸付事業用宅地等の改正のまとめ

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

ご存知の方も沢山いらっしゃると思いますが、平成30年の税制にて小規模宅地特例の貸付事業用宅地等が縮小の方向で税制改正されました。

貸付事業用宅地のポイント

貸付事業用宅地が平成30年度税制改正で縮小されるに行ったった経緯としては次の点が挙げられます。

  • 貸付けであるため、購入しやすい・売却しやすい
  • 現金を保有しているよりも、不動産(貸付用)を購入した方が評価額が低い

改正点

相続発生時に現金を保有しているよりも、その現金で貸付用不動産を購入したほうが相続税の負担を縮小できました。改正前は、相続発生直前に不動産を購入することで、相続税負担を免れている資産家が多数いたため、今回の開始が行われています。

改正点としては、

「貸付事業用宅地等」の範囲から、相続開始前3年以内に新たに貸付事業のように供された宅地が除外されました。

改正前に行われていた、相続発生直前に不動産を購入し相続対策を実施するというスキームが防がれたことになります。

貸付事業用宅地についての説明

貸付事業用宅地等に係る小規模宅地特例が縮小されたといったも、そもそもどのような制度なのでしょうか。制度の概要について確認します。

貸付事業用宅地の貸付事業とは?

貸付事業用宅地等の「貸付事業」とは、

「不動産貸付業」、

「駐車場業」、

「自転車駐車場業」

及び

事業と称するに至らない不動産の貸付け

その他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行う「準事業」をいいます。

とされています。

つまり、一般的な不動産賃貸業等であれば貸付事業用宅地等に含まれるということです。

貸付事業用宅地等の要件

相続開始の直前において、被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等で、以下の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます。

表の区分に応じ、それぞれに掲げる要件の全てに該当する部分で、それぞれの要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られます。

貸付事業用宅地等の要件

 
区分特例の適用要件
被相続人の貸付事業の用に供されていた宅地等事業承継要件その宅地等に係る被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、

かつ、

その申告期限までその貸付事業を行っていること。

保有継続要件その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。
被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の貸付事業の用に供されていた宅地等事業継続要件相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等に係る貸付事業を行っていること。
保有継続要件その宅地等を相続税の申告期限まで有していること。

適用除外もある

今回の改正は、相続発生前3年内に新たに貸付事業の用に供された宅地等が、貸付事業用宅地等の範囲から除外されていますが、全部が全部というわけではありません。

例えば、以下のケースは「新たに貸付事業の用に供された宅地等」には該当しないという通達が公表されています。

  • 相続開始前3年以内に賃貸借契約の更新がされた場合、
  • 賃借人が退去した後に再び賃貸されるなど一時的に賃貸されていなかったに過ぎないと認められる場合

ちなみに、次のような経過措置が設けられています。

平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に相続又は遺贈により取得をした宅地等については、平成30年4月1日以後に新たに貸付事業の用に供されたもの(相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業を行っていた被相続人等の当該特定貸付事業の用に供されたものを除く。)が、措置法第69条の4第3項第4号に規定する貸付事業用宅地等の対象となる宅地等から除かれることに留意する。

よくわからないと思うので、簡単に説明すると平成30年3月31日までに貸付けを行っていれば、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に相続等が発生した場合であっても、貸付事業用宅地等の特例の適用ができますよ、ということです。

既に平成30年7月ですので、3月31日時点で貸付事業の用に供していれば、改正前の制度利用が可能ですので、いつから貸付しているのかの確認が重要になってきます。

「貸付事業の用に供している」と記載があるため、貸付が最終的な目的であっても建物を建設中で未貸付状態の物件の土地は適用が不可である点に留意が必要です。

まとめ

小規模宅地特例の1つである「貸付事業用宅地等」に改正が入ってしまい、ますます複雑になってきてしまっています。

適用できるかにより相続税額に与える影響が大きいです。3年という時間的な縛りが設けられてしまったため、事前のスケジューリングが今まで以上に重要です。

事業承継全般に当てはまることですが、相続等の事象が発生してからでは対策を講じることができません。まだ早いかな、という時期が対策のベストタイミングです。

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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
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はじめまして。愛知県名古屋市池下の公認会計士・税理士澤田憲幸です。

起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。

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