こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
ネットショッピングを営んでいる方に共通の悩みとして、代金が振り込まれない…というものがあります。
回収不能な代金、そのままにしていませんか?実は損金にすることが可能なのです。
ネットショッピングの代金回収方法
ネットショップを運営している方の多くは、クレジットカード、代引き、銀行振り込み(後払い)のいずれかの決済方法を選択できるようにしているのではないでしょうか。
クレジットカードと代引きであれば代金回収不能にはなりません。
問題は、銀行振り込み(後払い)です。
商品到着後、適切に振り込みが行われれば問題なしですが、稀に代金の支払いをしてくれないお客様がいます…
このような場合、泣き寝入りをするしかないのでしょうか。
回収努力をする
回収不能債権がある場合には、回収努力をする、これにつきます。
請求書には”振込期日”が記載してあることが一般的です。
振込期日後、代金が振り込まれない状況が続くのであれば回収努力をすべきです。
商品を注文した際に電話番号や住所が記載されているので、そちらの電話番号に督促の電話をかけてみる、催促の手紙を送付する等の回収努力をしてみましょう。
債権を回収した努力の証を証拠として残しておくことをお勧めします。
実は、証拠を残しておくことが、税務上非常に重要です。証拠があるのとはないのでは、説得力が段違いに異なります。自分の身を守るためにも面倒ですが、証拠や履歴を残すように努めましょう。
貸倒損失として損金処理することができる
回収努力をしてもなお債権の回収ができない際は、貸倒損失として損金計上ができないかを検討します。
法人税法基本通達9-6-3に、一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れについての規定が定められています。
(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)
9-6-3 債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下9-6-3において同じ。)について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認める。(昭46年直審(法)20「6」、昭55年直法2-15「十五」により改正)(1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)
(2) 法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき
(注) (1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。
ネットショップを営んでいる場合であっても、一定要件を満たすことでこの通達の適用が可能です。
通達の(注)書きには、「たまたま取引を行った債務者に対して有する…、この取扱いの適用はない。」と記載がされています。
ネットショップの購入者は、安いからたまたまそのショップで商品を購入したという人が多いと思われます。このような場合であっても、この通達の適用ができるのかという点が問題になります。
この点、国税庁の「通信販売により生じた売掛債権の貸倒れ」において、次のように解説されております。
衣料品の通信販売を営むA社のように、一度でも注文があった顧客について、継続・反復して販売することを期待してその顧客情報を管理している場合には、結果として実際の取引が1回限りであったとしても、A社の顧客を「継続的な取引を行っていた債務者」として、その1回の取引が行われた日から1年以上経過したときに上記1の取扱いを適用することができます。
ここでは、一度でも注文があった顧客について、継続・反復してて販売することを期待してその顧客情報を管理している場合には、~、「継続的な取引を行っていた債務者」として、取り扱ってもよいと記載がされています。
つまり、
- ネットショップとしては、「継続・反復する」顧客だと期待する
- 顧客情報を管理
という2点を少なくとも兼ね備えていれば、「継続的な取引を行っていた債務者」として取り扱うことが可能ということです。
顧客情報を管理しておくことで、万が一売掛債権を回収できない場合であっても、貸倒損失処理し損金計上することが可能になります。
まとめ
事業を運営していると、債権回収に悩まされることが1度や2度はあるはずです。
最悪、回収ができない場合であっても、貸倒損失処理ができるような準備を整えておくことが重要です。
「債権回収できない+貸倒損失が損金計上できない」といった最悪の事態だけは避けたいですよね…
顧客情報を管理しておくことで貸倒損失が認められるのであれば、顧客管理を万全にしておきましょう。顧客情報は経営上も非常に役に立つものですから、情報管理はマイナスになることは絶対にありません。
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