【確定申告】スーツや仕事のみに着用する洋服(主に女性)は経費になるのか?

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

スーツが経費になるのか、仕事のみで着る女性用の服は経費になるのか。

美容師さんの洋服についてはこちらをご覧ください。

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。 みなさま、美容院には何か月ごとに通っていますか?私は2か月に1回を目標としてい...

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サラリーマンのスーツは原則、経費にならない

ご存知の通り、サラリーマンのスーツ代は基本的には経費になりません。

というのも、給与に対する課税は、給与額面に対して課税されるわけではなく、給与の額面から一定額を控除をした残額に対して税金が課されるためです。

一定額の控除→サラリーマンに認められている「みなし経費」

一定の控除とは、サラリーマンも文房具や接待代を自腹で支払う人がいるはずだ、サラリーマンに経費を一円も認めないのはさすがにかわいそうである、といった意味合いから「みなし経費」がサラリーマンには実は認められています。

みなし経費のことを、給与所得控除と呼んでいます。給与所得控除の金額は以下の通りで、給与の額面によって異なります。

【平成29年以降の給与所得控除の金額】

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超3,600,000円以下収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超6,600,000円以下収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超10,000,000円以下収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超2,200,000円(上限)

平成32年分以後は以下の通り、控除額が縮小します

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円以下550,000円
1,625,000円超1,800,000円以下収入金額×40%-100,000円
1,800,000円超3,600,000円以下収入金額×30%+80,000円
3,600,000円超6,600,000円以下収入金額×20%+440,000円
6,600,000円超8,500,000円以下収入金額×10%+1,100,000円
8,500,000円超1,950,000円(上限)

このように、年収が500万円のサラリーマンには、500万円×20%+54万円=154万円分もみなし経費を税金計算上は考慮してくれているのです。

サラリーマンの税金計算をする際に、給与の額面から控除するされるものは以下のものも含まれます。

  • 社会保険料
  • 生命保険料控除
  • 地震保険料控除
  • 扶養控除
  • 基礎控除
  • 医療費控除
  • 寄附金控除

社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除は、ある支出に対し、一定額を控除しましょうというものです。

扶養控除は養う親族がいる場合は控除額を上乗せしますよ、

医療費控除も同様で、医療費が多額になってしまった場合は所得から控除しますよ、

寄附金も都道府県や市区町村等の特定の場所へ寄附したのであれば一定額を所得から控除するというものです。

スーツ代を経費にする方法はある:特定支出控除

実は、スーツ代や仕事のために購入した服を経費にする方法はなくはありません。聞いたことがあるかもしれませんが、特定支出控除という制度があります。

特定支出控除の例

通勤費:一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出

転居費:転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出

研修費:職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出

資格負担費:職務に直接必要な資格を取得するための支出
※弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費も特定支出の対象となります。

帰宅旅費:単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出

勤務必要費用:次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの

  1. 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
  2. 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
  3. 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)

衣服費は勤務必要費用に含まれている

特定支出控除に含まれるサラリーマンが経費に計上できるものの中に、衣服費の記載があります。

制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用

勤務場所において着用することが必要とされている衣服…と記載があります。

スーツをプライベートで着用する方は多くないはずなので、スーツは衣服費として特定支出控除に含めてもよさそうです。しかし、仕事のみで着る女性用の服は、、、勤務場所において着用することが必要とされている衣服ではなさそうです。

この時点で、女性用の服を経費に含めるのは難易度が高いのではないかと私は思います。

特定支出控除とするには勤務先の証明書が必要

実は、この特定支出控除、厄介な点が1つあります。

勤務先が、当該経費は職務の遂行に必要であることの証明書を発行する必要があるのです。

特定支出控除の例に挙げさせていただいた経費は無条件で経費として認めてもらえるわけではないのです。

経費として認めてくださいと、会社に申請して承認をしてもらう必要があります。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/871222/07.pdf

【給与所得者の特定支出控除に関する証明書の様式等の制定について】

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/871222/01.htm

特定支出控除によって、経費にできる金額

晴れて、勤務先から証明書を発行してもらえることになったとしましょう。

さて、いくらが経費になるのでしょうか。

平成28年分以降は、特定支出の額の合計額が、その年の給与所得控除金額半分を超えた場合は超えた部分を給与所得控除後の所得金額から控除できます。

その年中の給与等の収入金額特定支出控除額の適用判定の基準となる金額
一律その年中の給与所得控除額×1/2

年収ごとの給与所得控除額×1/2

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額×1/2
1,800,000円以下収入金額×20%
375,000円に満たない場合には375,000円
1,800,000円超3,600,000円以下収入金額×15%+90,000円
3,600,000円超6,600,000円以下収入金額×10%+270,000円
6,600,000円超10,000,000円以下収入金額×5%+600,000円
10,000,000円超1,100,000円(上限)

給与所得控除額×1/2の金額を見ると、年収が180万円以下の場合であっても、375,000円を超えない限りは、特定支出控除が使えません。

【例】年収180万円の人年間で50万円のスーツを購入し、勤務先から証明書を発行してもらった。

<追加経費として認められる金額>

50万円―37.5万円=12.5万円

特定支出控除による節税額

節税額を見てみたいと思います。

<節税額>

12.5万円×5%=6250円

はい、6250円の節税にしかなりません。

これはなぜかというと、給与所得者にもともと認めらえている「給与所得控除」がとても優遇されているためです。

特定支出控除は給与所得控除を超えた部分しか認めてもらえません。たくさん支出したのに、これだけの節税額か…となるのはこれが理由です。給与所得控除と同額の経費を実際に使用しようとすると、結構な無駄遣いしなければ不可能です。

先ほどの例でいえば、年収180万円でスーツを年間50万円分も購入していたら生活費がなくなってしまう程の支出です。

デメリット:確定申告の必要がある

勤務先から証明書を発行してもらうのも、大きな手間の一つですが、特定支出控除の適用を受けるためのハードルの1つに、確定申告があります。

勤務先からの証明書を添付して確定申告をする必要があるのです。

普段は年末調整のみで、確定申告なんてしていないサラリーマンにとっては手間以外の何物でもないですよね…

まとめ

サラリーマンのスーツを経費にする方法は、あるにはあります。特定支出控除です。

ご自身の年収から特定支出控除が使えるようになる金額を算出してみてください。結構ハードルが高いはずです。

転勤や資格取得を同時に行った年度であれば検討する余地はあるかもしれません。 広告

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はじめまして。愛知県名古屋市池下の公認会計士・税理士澤田憲幸です。

起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。

会社設立直後で税金・会計・財務まで手が回らない経営者の方、今の顧問税理士にご不満のある方、事業承継対策に悩んでいる方、M&Aの話を金融機関等から提案されたが得な話か損する話か判断ができない方は一度ご相談ください。

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