こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
会社設立をすると、税務署や市区町村へ提出する書類が大量にあります。
本日はその沢山ある書類の紹介です。
*なお、会社設立時に可能であれば税理士と一度相談するととをお勧めします。資本金の額、事業年度の決め方等、知っているか知らないかで大きく税額が異なることがあるためです。
税務署:提出するだけで税務メリットあり!
会社設立後に提出しなければならない届出は数多くありますが、税務署への届出が一番重要だと個人的には思っています。
というのも、提出するだけで税務メリットを受けることができる書類があるからです。
言い換えれば、提出しなかっただけで、税務メリットを受けることができなくなってしまいます。これほど悲しいことはありません。
1.法人設立届出書
名前の通り、税務署へ法人を設立した旨を連絡するための届出書です。
設立の日以後2か月以内に提出が必要。
次の資料も法人設立届出書と一緒に税務署へ提出します。
① 定款、寄附行為、規則又は規約(以下「定款等」といいます。)の写し
② 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)又は登記簿謄本(税制改正があり、謄本の提出は不要になりました)
③ 株主の名簿
④ 現物出資をした者の氏名、出資の金額及び出資の目的物の明細を記載した書類
⑤ 設立趣意書
⑥ 設立の時における貸借対照表
⑦ 合併により法人を設立した場合における合併契約書の写し
⑧ 分割により法人を設立した場合における分割計画書の写し
2.青色申告の承認申請書
一定水準以上の記帳をし、その帳簿書類等をきちんと保管している場合は一定の恩恵が与えられています。法人の場合は青色申告のメリットが非常に大きいです。
青色申告であれば、赤字も繰り越すことができますし、青色申告でなければ認められていない特典が沢山あるのです。これだけは提出を失念しないようにしてください。
①青色欠損金の繰越控除
②青色欠損金の繰戻しによる法人税額の還付
③試験研究を行った場合の特別控除
④中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例等、白色申告には認められていない税務上のメリットを青色申告書の承認申請書を提出することで享受できます。
3.給与支払事務所等の開設届出書
その法人が給与を支払う事務所である場合は、この給与支払事務所等の開設届出書を提出することになっています。
これは給与や賞与を支払う法人は、その支払額のうち一定金額の所得税を天引きし翌月10日までに税務署へ支払う義務を負っているためです。
4.源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
小さな規模の会社にまで、源泉所得税を毎月納付させることは事務手続きの点から煩雑です。
小さな規模の会社(給与等の支払いを受ける者が常時10人未満の会社)は、当該申請書を提出すれば、半年に一回源泉所得税を納付することが特例で許されています。
提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。
5.申告期限延長の届出書
監査法人の監査をうける必要のある会社や外資系の日本法人の場合には、決算日から2か月経過した日に帳簿が閉まっていないケースが多々あります。
そのような場合であっても、事前に届出をしておくことで申告期限を延長することが可能です。
6.棚卸資産の評価方法の届出書
この届出を提出しない場合には、最終仕入原価法によって期末の棚卸資産を評価します。
最終仕入原価法とは、決算日に一番近い日に仕入れた価額を基にして期末棚卸資産の評価額を算定することです。
この届出を提出することで、期末棚卸資産の評価方法において、低価法、個別法・先入先出し法等が選択することができるようになります。
原 価 法
(イ) 個別法による原価法
(ロ) 先入先出法による原価法
(ハ) 総平均法による原価法
(ニ) 移動平均法による原価法
(ホ) 最終仕入原価法による原価法
(ヘ) 売価還元法による原価法
低 価 法
(イ) 個別法による原価法に基づく低価法
(ロ) 先入先出法による原価法に基づく低価法
(ハ) 総平均法による原価法に基づく低価法
(ニ) 移動平均法による原価法に基づく低価法
(ホ) 最終仕入原価法による原価法に基づく低価法
(ヘ) 売価還元法による原価法に基づく低価法
7.減価償却資産の償却方法の届出書
法人は建物・建物附属設備・構築物の償却方法は定額法(H28.4.1~)、車両等は定率法として法定償却方法が定められています。
車両等について、定率法以外の方法で償却したい場合等はこの届出書を提出する必要があります。
都道府県+市区町村へ提出すべき書類
税務署だけではなく、都道府県へ提出する書類もあります。
法人設立届出書
都道府県にも法人設立届出書を提出します。
都道府県や市区町村には、定款と登記事項証明書(登記簿謄本)を添付して提出しましょう。
添付を失念すると、後日電話がかかってきて、FAXか郵送するように依頼が来ます。あとから同じことをするのであれば、事前に対応することをお勧めします。
年金事務所
年金事務所にも届出書を提出する必要があります。
提出先は、会社所在の市区町村によって異なりますので、年金事務所のHPを確認してください。
健康保険・厚生年金新規適用届出
法人は社会保険への加入義務があります(厚生年金保険と健康保険)。
会社設立後、管轄の年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」を管轄の年金事務所へ届け出ることで社会保険が適用されることになります。
被保険者取得届
役員報酬を支払うのであれば、社会保険料を徴収する必要があります。
健康保険と厚生年金保険は、月額報酬に応じて金額が決定されます。
月額報酬を年金事務所へ伝える必要があり、その連絡資料がこちらの被保険者取得届です。
【ポイント】:役員報酬と社会保険の微妙な関係
役員報酬は、会社設立後3月以内に株主総会で決定することで、経費計上することが可能です。
税務上は会社設立後3か月以内に役員報酬の額を決定すれば特に問題はありませんが、社会保険が絡んでくると、早めに役員報酬の額を決める必要がでてきます。
というのは、脱サラして起業した!という方の多くは、サラリーマン時代に会社の社会保険に加入していたと思います。当然ですが、起業後は自分で社会保険に加入しなければなりません。
例えば会社設立後2か月の間、役員報酬をゼロとしていると、この2か月間は国民健康保険等に入るか、任意継続を選択することになります。
この国民健康保険や任意継続は、高額になるケースが多いのです。
任意継続は前職時の給与明細に記載のある健康保険料×2の金額です。びっくりする額になるのではないでしょうか…
健康保険や厚生年金保険にすぐに加入したい!という要望がある方や、高額な国民健康保険を支払うのはちょっと…という方は会社設立後すぐに役員報酬額を決定する方がお得かもしれません。
まとめ
会社設立後に提出すべき書類をまとめてみました。
税務署、都道府県・市区町村、年金事務所とあちらこちらに書類を提出する必要があり大変です。
特に税務署への届出を失念すると税務上の特典を受けられないものまであります。
会社設立時は何かとバタバタするとは思います。全てご自身で行うのも結構ですが、提出をし忘れた!なんてことがないようにしましょう。
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