こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
2018年1月15日に日本公認会計士協会から「公認会計士による中小企業の事業承継支援-
従業員承継の支援手法について 」が公表されました。
2017年9月15日に日本公認会計士協会から、事業承継支援マニュアルが公表されており、今回は「従業員承継」にフォーカスをあてたものとなっております。
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従業員承継のメリット
1.親族内承継よりも選択肢が多い
親族ではない、すでに社内で勤務している従業員が事業を承継するため、親族に比べて「後継者」候補の数が多いので後継者候補の選択肢が増える点がメリットです。
2.会社の事業をゼロから学ぶ必要がない
会社の事業を熟知している従業員が後継者候補として選ばれるケースが多いため、会社の事業についてゼロから学ぶ必要がありません。
当然、対外的にも信頼感のある従業員が後継者として選ばられることが多いため、事業承継が円滑に進む可能性が高いです。
3.事業承継税制を利用できるかもしれない
事業承継税制の後継者候補は第三者も対象です(平成25年税制改正によって、後継者の親族要件が廃止されています)。
そのため、従業員であっても一定の要件を満たすのであれば事業承継税制を利用し、株式を後継者候補である従業員へ移転することが可能です。
2018年1月21日では平成30年度税制改正大綱ベースの情報なので、詳細は条文が公表されるまで明言できませんが、一定の要件をみたすのであれば。「相続税・贈与税」の負担なしに対象会社の株式を後継者である従業員へ移転することが可能になりそうです(要件は厳しいです)。
従業員承継のデメリット
1.従業員の経営者としての資質が問題
従業員承継の一番の問題は、今まではあくまでも「従業員」として優秀であったとしても、「経営者」として会社を引っ張っていけるかは別問題です。
従業員の中から優秀な方を後継者候補として選ぶと思いますが、「経営者」としての資質を有しているのか見極める必要があります。
2.個人保証が引継げないことがある
前経営者が金融機関からの借入に対して、個人保証をしているケースが中小企業では多いと思います。
経営者は個人資産として土地等を保有しているケースが多いですが、後継者候補に選任された従業員には財産がないケースが多いです。
この場合に、前経営者の個人保証を後継者候補に切り替えようとしても、金融機関からOKがもらえないなんてことがおきてしまいます。
3.株式を買い取る資金力がない場合が多い
後継者候補の従業員が多額の資産を有していたり、高給取りであれば会社の株式を買い取ることが不可能ではないかもしれませんが、、、基本的に事業承継に悩んでいる会社の株価は高止まりしているケースが多いです。
後継者候補は金融機関から個人で借入れをする等して、株式の買い取り資金を準備する必要があります。ここで、個人保証と同様に金融機関から株式の買い取り資金の融資をNoと言われてしまうリスクがあります。
事業承継税制を適用できればこの点は従業員承継のデメリットにはなりませんが、適用できない場合には大きな障壁となります。
4.従業員の親族の同意が得られないことがある
親族の同意が得られないパターンです。
株式の買い取り資金のために、金融機関から借り入れをし、会社の借り入れの個人保証をしなければなりません。
後継者候補の親族は不安になり、会社の後継者となる選択にNoを突き付けることもあります。会社経営は親族のサポートなしには成しえませんので、乗り越えるべき壁の一つかもしれません。
まとめ
従業員承継は、親族内承継やM&Aによる第三者承継に比べると、非常に難易度が高いです。
今までいち従業員であったものが突然オーナーシップをもって経営しろと言われても意識を変えるのに時間もかかるはず。
個人的には、従業員承継をするのは、M&A(前経営者が創業者利得を得やすい)を検討してからでもいいのではないかと考えています。
従業員承継のスキーム構築サービスも澤田公認会計士・税理士事務所では行っております。お気軽にご連絡ください。
中小企業M&Aのセカンドオピニオンサービスも承っております。
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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
中小企業のM&A、事業承継、スタートアップ支援を得意としています。
創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。
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