【確定申告】不動産で節税?所得税法上の取扱い

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

仮想通貨関係のお問い合わせを多数いただいております。ありがとうございます。

不動産を利用すれば、節税ができるのでは?とお考えの方もいらっしゃると思います。

法人成りするまでもないが、個人不動産を運用節税になるのであればありだとお考えの方向けに、所得税法上の不動産の取扱いについてご紹介します。

資産管理会社のメリット・デメリットはこちらからどうぞ。

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。 2018年に入り仕事始めです。 確定申告がいよいよ迫ってきました。まだ領...

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不動産の取得の日

まず、不動産の取得の日はいつになるのでしょうか。

2017年中に仮想通貨等で所得が出ている場合は、可能であれば2017年から不動産を取得したことにしたいはずです。

原則:資産(不動産)の引渡しのあった日

所得税法基本通達33-9および36-12には、不動産の取得の日は、不動産の引渡しのあった日とされています

引渡しの場合、使用収益が可能になった日や、所有権移転登記日を不動産の取得の日とすることになります。

2017年中に契約、2018年に物件引渡しの場合、原則的には2018年に不動産を取得したことになります。

例外:資産(不動産)の譲渡に関する契約の効力発生の日

原則は、不動産の取得の日は「引渡しのあった日」ですが、例外も認められています。

例外は「契約の効力発生の日」に不動産を取得します。

問題は、「契約の効力発生の日」がいつなのか?という点です。契約書に日付があれば、その日が効力発生日になるのでしょうか。

不動産売買では手付金条項があるケースが多い

不動産の売買では、一般的に契約書の締結と同時のタイミングで買主による手付金が支払われることが多いです。手付金の支払いが買主の義務になっている場合、手付金が支払われなければ「契約の効力発生の日」にはなりません。

契約書に手付金条項がある場合、「契約の効力発生の日」という条件を満たすには、少なくとも手付金を支払う必要があります。

手付金の条項がない場合

親族間の不動産売買等のケースでは、手付金条項がないケースもあります。

契約時に手付金がなくとも、不動産の引き渡し日に金銭の授受が実際になされ登記等が行われているのであれば、契約時に売買の契約について当事者間の合意があると考えられます。。

例外の規定を使えば、2017年中に契約、2018年に物件引渡しの場合、例外の契約日を基準にすると2017年に不動産を取得したことになります。

【注意点】

不動産業界には不動産業界特有の慣行があります。手付金を支払うことが原則であれば、原則通り手付金を支払い、「契約の効力発生の日」はいつ?という議論が生じないように留意する必要があります。

所得税法基本通達:

(資産の取得の日)33-9

法第33条第3項第1号に規定する取得の日は、次による。

(1) 他から取得した資産については、36-12に準じて判定した日とする。
(2) 自ら建設、製作又は製造(以下この項において「建設等」という。)をした資産については、当該建設等が完了した日とする。
(3) 他に請け負わせて建設等をした資産については、当該資産の引渡しを受けた日とする。

(山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期)36-12

山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする。ただし、納税者の選択により、当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日(農地法第3条第1項《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》若しくは第5条第1項本文《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》の規定による許可を受けなければならない農地若しくは採草放牧地(以下この項においてこれらを「農地等」という。)の譲渡又は同項第3号の規定による届出をしてする農地等の譲渡については、当該農地等の譲渡に関する契約が締結された日)により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。

(注)
1 山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、資産の譲渡の当事者間で行われる当該資産に係る支配の移転の事実(例えば、土地の譲渡の場合における所有権移転登記に必要な書類等の交付)に基づいて判定をした当該資産の引渡しがあった日によるのであるが、当該収入すべき時期は、原則として譲渡代金の決済を了した日より後にはならないのであるから留意する。
2 農地等の譲渡について、農地法第3条又は第5条に規定する許可を受ける前又は届出前に当該農地等の譲渡に関する契約が解除された場合(再売買と認められるものを除く。)には、国税通則法第23条第2項の規定により、当該契約が解除された日の翌日から2月以内に更正の請求をすることができることに留意する。

不動産所得は損益通算が可能

所得税法上、以下の(1)~(4)の所得区分で損失が生じた場合には他の所得と通算することが可能です。

(1) 不動産所得、(2) 事業所得、(3) 譲渡所得、(4) 山林所得

(1)において不動産所得から生じた損失がある場合が挙げられていることから、不動産による赤字がでれば他の所得と相殺できる可能性があります。

これを仮想通貨による所得の節税に活用できないか?というご相談を非常に多くいただいております。

不動産取得もスケジューリングが大切

不動産を取得し、不動産で赤字を計上することができれば、他の所得と相殺することが可能です。

注意点が1点あります。個人が不動産を取得した場合も、不動産(建物)の減価償却は定額法です。定額法であることに加え、月割りです。

【例:2017年12月に不動産を1億円で取得した場合】

1億円×0.038(軽量鉄骨)×1/12=316,666円

1か月分しか減価償却費として計上できないので、1億円で不動産を購入したとしても経費にできるのは約31万円です…

1億円全額が建物ではない(1億円の中には土地の代金も含まれるはず)ので、減価償却費として計上できる金額はより少なくなると思われます。

年度末に利益が予想以上にでそうということで、駆け込みで不動産を契約したとしても、節税できる金額はこれだけなのです。。

これからわかることは、何事もスケジューリングが大切という事。とはいえ、仮想通貨の値動きがわかる人は多くはいないですよね。

まとめ

不動産を活用した、損益通算による節税はできないこともないが、限界があります。

節税を実行するのであれば、将来を見据えたうえで実行すべきですし、そのためにはシミュレーションを重ねることが重要です。

確定申告時期なので、2017年の税金をどうにかしたいという気持ちは非常によくわかりますが、過去にさかのぼって節税するのは至難の業です…現金の動きはさかのぼれません。

本業が忙しくとも、節税をしたいのであれば、ある程度時間を割く、自分を信じ先手必勝で対策を講じる必要があると私は考えています。

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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
中小企業のM&A、事業承継、スタートアップ支援を得意としています。
創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。

代表プロフィール

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といった要望にお応えし、コスト重視プランを始めました。



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はじめまして。愛知県名古屋市池下の公認会計士・税理士澤田憲幸です。

起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。

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