こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
中小企業では慢性的な人手不足のため、親族に業務を手伝ってもらうことが多いと思います。
株式会社等の法人形式では、家族を役員にする場合と従業員として雇用する2通りが考えられます。
親族外の人を雇う前に、まず家族を雇うケースが多いと思うので、以下では家族を従業員として雇う場合の手続きと税務上の注意点についてご紹介します。
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従業員を雇用するために必要なもの
雇用契約書(労働条件通知書)
親族だから雇用契約書は不要と考えている方も多いのではないでしょうか。
親族であっても、労働条件を記載した労働条件通知書を交付します。労働契約を結ぶときには、使用者が労働者に労働条件を書面を交付して明示することが必要とされています(労働基準法第15条)
雇用契約書に労働条件通知書を記載しているケースが多いです。
従業員に提出してもらう書類
次の書類も会社に提出してもらうようにしましょう。
- 履歴書
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 年金手帳(被扶養配偶者がいる場合は配偶者のものも)
- 雇用保険被保険者証
- 健康保険被扶養者(異動)届
- マイナンバーカードまたは通知カードの写し
- 給与振込口座
社会保険・労働保険の手続き
一般的に従業員が加入する社会保険は、健康保険、厚生年金、介護保険です。従業員は労働保険(雇用保険と労災保険)にも加入する必要があります。
次のものを提出することになります。
- 健康保険・厚生年金被保険者資格取得届・・・年金事務所
- 健康保険被扶養者(異動)届・・・年金事務所
- 国民年金第3号被保険者資格取得・種別変更・種別確認(3号該当)・・・年金事務所
- 雇用保険被保険者取得届・・・ハローワーク
税務上の取り扱い
親族を従業員として雇用する場合には、税務上注意すべき点があります。
みなし役員
税務上、みなし役員という制度があります。
1)と2)のいずれかに該当する場合は、登記上は役員外であっても、従業員であっても、税務上は役員として取り扱う場合があるということです。
役員には、原則としてボーナスを支給できません(できないことはないですが、支給しても損金不算入です)。
そこで、親族を従業員とすれば、ボーナスが支給し放題だと考える人が必ずいるため、一定の要件をみたし、経営に従事しているのであれば税務上は役員としてみなすことにしているのです。
質問
Q:4月に会社を設立しました(今は1月です)。当初想定していたよりも利益が出そうなので、父を会社設立時(4月)から従業員として雇用していたとしても大丈夫ですか?
A.さすがにそれは無理があります。従業員として雇用するのであれば、1月からにしましょう。
4月から12月まではお父様は全く働いていない状況です。4月から働いていたことにするのは、事実を完全に歪めています。これが許されるのであれば、なんでもありの世界になってしまいます…
お父様を従業員として雇用することは全く問題ありません。手伝ってもらった分だけ、お給料を支給してあげましょう。ただし、過大な使用人給与は損金不算入するという法人税法上の規定があるため、過大支給には注意が必要です(法人税法36条)。
親族とはいえ、従業員を雇用するとそれなりの手間は生じるので覚悟が必要です。
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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
中小企業のM&A、事業承継、スタートアップ支援を得意としています。
創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。
【主な業務内容】
・スタートアップ支援
・事業承継対策
・M&Aサービス
・税務顧問業務
・スポット対応
・個別コンサルティング業務
◇メール、チャットワーク対応がメインの顧問契約「コスト重視プラン」始めました。
このような方がコスト重視プランの対象です
・毎日忙しく、税理士と面談する時間がない
・直接会って面談するよりも、メールやチャットで気軽に質問できるほうが望ましい
・別に税理士には会わなくていいので安くしてほしい
といった要望にお応えし、コスト重視プランを始めました。
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起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。
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