こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
【事業承継】をテーマにSMCホールディングスさんとセミナーを開催させていただきました。
セミナーは2部構成の3時間です。
第1部が親族内承継・従業員承継、第2部が中小企業M&Aでした。
私は第2部の中小企業M&Aについて、1時間30分ほどお話しさせていただきました。
その中で、私が感じたことがいくつかあるのでご紹介させていただきます。
親族・従業員承継にばかり関心が偏っている
セミナー後のアンケートをみると、納得の結果ではありますが親族・従業員承継「だけ」に関心を持っている方が多かったです。
親族・従業員承継が、何年後に絶対に完了する!というのであれば、親族・従業員承継のことだけを考えていただければOKです。無理やりM&Aを進める必要もありませんし、それはそれでよいと思います。
親族内で承継できればそれが一番です。
セミナーアンケートにおいて、持株会社のスキーム(銀行等の金融機関が主導するタイプ)の解説の評判が良いのには驚きました。
詳細はこちらをご覧ください。
親族・従業員承継は意思決定に時間がかかる
親族・従業員承継の問題点は、意思決定に時間がかかることが挙げられます。
意思決定に時間がかかるのは、2通りあります。
この2つの意思決定が存在するため、非常に時間がかかります。
言われてみれば当然だと思うこの事実に気がついていない経営者の方が非常に多いです。
自分はすぐに決断できる!とおっしゃる方ほど、後継者がしっかりとできるのか不安でしかたない、実際は引退後も会社が気になって仕方ない…という理由から、事業承継をスタートするタイミングを後回しにしがちです。
経営者の方が後継者候補に、事業承継の話を切り出すだけでも時間がかかるわけですから、話をされた後継者候補さんも1日、1月という期間では回答できません。一般的には数年後に今の会社を辞めて、会社にジョインするという形が多いです。
会社に入社してきたばかりでは何もできませんから、営業、製造部、経理部等を経て、役員に就任するはずです。とすると、本当の意味での事業承継が完了するのは10年後等になってしまいます。とはいえ、このケースの場合は後継者自体はいるのでOKです。
本当の問題は、後継者候補が数年間悩んだ末に、「No」という回答、会社は引き継がない、という回答をした場合です。現経営者が事業承継を決断してから、数年間経過してしまっているのです。
親族に断られた…
従業員にオファーしよう、と考えるかもしれませんが、ここで断られたら、さらに数年間が経過してしまいます。
それではM&Aを検討するか…ということでは、事業承継を決断してから数年間+数年間のかなりの年数が経過してしまっているのです…
経営者の方であれば冷静に考えればわかると思うのですが、数年後の会社の状況や経済状況を予測できますか?決断に時間がかかるということは、このようなデメリットを内包しているのです。
そうであるからこそ、M&Aという選択肢をはじめから除外するのではなく、事業承継の選択肢の1つとしてM&Aを頭の片隅に入れておく必要があるのかなと考えています
【中小企業M&A】M&Aで相手の見つかりやすい(売りやすい)会社、見つかりにくい(売りにくい)会社
M&Aに抵抗感を持っている方が多い
セミナーで感じたこととして、まだまだM&Aに抵抗感を持っている方が多いな、ということです。
実際には親族・従業員に後継者がいないにもかかわらず、第三者承継の検討を進められない、話は聞いてみたが、どうも気持ちが乗らない方が多いようです。
M&Aのメリット・デメリットを把握していない
M&Aに前向きではない経営者の方が多いのは、メリット・デメリットを把握していないという単純な理由なのかなと。
M&Aのメリット・デメリットを買収サイド・売却サイドそれぞれ簡単に列挙するとこのようになります。
詳細はこちらに記載していますのでご覧いただければ。
【中小企業M&A】事業承継M&A急増の理由-M&Aのメリット
M&Aはそれほど複雑ではない
M&Aは複雑で上場企業のような規模の大きな会社だけが対象になるんだ、うちには関係ないよと考えている方も大勢いらっしゃるようでした。
中小企業のM&Aはまだまだ認知度が足りないんだなと実感するとともに、ある事例を紹介させていただきました。
ある事例は、同業ではあるものの、繁忙期が異なる会社同士のM&Aです。
繁忙期が異なるので、M&Aにより、閑散期の会社は繁忙期の会社に従業員をヘルプに出せるというメリットがある、ということを説明させていただきました。
M&Aの買収理由やシナジー効果は、このように言われて気がつく、というものが多いです。
「なるほど、確かに。言われてみれば、それいいね!」です。
多くの方がM&Aで買収する、売却するという未体験の事象を複雑怪奇なものであると勝手に翻訳してしまっているのです。実際は、それほど複雑な理由ではなく、自社に不足しているリソースを持つ会社である、ちょうど新たな拠点を出したいと考えていた等の経営者の方々が思っているよりは単純な理由によりM&Aが実行されています。
単純と言っては語弊がありますが、究極的には、「それ、よさそうだね」といった感じです。
事業承継をするには会社の価値を高める必要がある
M&Aで会社を第三者に承継する場合は、良い企業でなければ買手候補はでてきません。
つまり、会社を他社から見た際も魅力的な存在であるようにする必要があります。
会社の価値を高めましょう、という話になると思うのですが、これはM&Aに限った話ではありません。
親族内・従業員承継をする場合であっても、会社を魅力的なものにする必要はあります。
理由は単純で、魅力的な会社でなければ引き継いでもらえないためです。子供は会社を引継いでくれると楽観的に考えていてはいけません。子供には子供の人生がありますから。
実際に会社を清算したいんですというご依頼をいただくことも沢山あります。その理由の多くは、子供も会社を引継いでくれないというものです。残念ですがやむを得ないです。
まとめ
事業承継問題は非常に悩ましい問題です。
現経営者の最後の経営判断と言っても過言ではありませんから。
最後の経営判断を最善のためにするためには、選択肢は1つでも多い方が良いはずです。その選択肢の中にM&Aを入れてみてはいかがでしょうか。
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起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。
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税務・財務の知識の有無で経営判断は大きく変わってきます。
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