こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
暖かくなってきました。ゴールデンウイークにはゴルフに出かける経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。私もゴルフに行ってきます。
今日は、ゴルフレッスンの費用は会社の経費になるの??というご質問について回答させていただきます。
自腹でのゴルフレッスン代は痛い…会社の経費にしたい!
ゴルフレッスン代って、高いイメージありませんか?
最近流行りのライザップゴルフの価格を調べてみると、やっぱり高い!ライザップだからというのもありますが。
最低34万円で、最高170万円。
1回あたりの単価は21,750円-17,750円。
ライザップゴルフでは、16回から96回まで11通りのレッスンプランをご用意しております。
スコアアップカウンセリングで最適なプランをご提案させていただいたうえで、ご希望の回数をお選びいただけます。
回数 有効期間(ヶ月) 価格(税別) 16 3 348,000 24 4 492,000 32 6 624,000 48 8 876,000 96 16 1,704,000 出典:https://www.rizap-golf.jp/plan/
34万円もするゴルフレッスン代を社長のポケットマネーで支払うと社長の懐が痛みます。
ライザップゴルフのレッスン料34万円をなんとか会社の経費にできないのでしょうか。
経費にできるとしたら
ゴルフレッスン代を会社の経費にできるとしたら、考えられる勘定科目は、「交際費」、「福利厚生費」、「役員給与」です。
それぞれの勘定科目ごとにゴルフレッスン代を計上できるかの検討をしてみます。
交際費
ゴルフのラウンド代は、交際費として計上することが可能です。それではゴルフレッスン代も交際費として計上する余地はあるのでしょうか。
交際費については、国税庁のHPで以下のように記載されています。
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出する費用をいいます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm
前述の通りゴルフのラウンド代は、得意先や仕入先との接待・供応等のためのものであれば交際費です。
ゴルフレッスン代は得意先や仕入先とゴルフをするための前段階です。
果たして、取引先とゴルフをプレーするための練習代であるレッスン費用は交際費に含まれるのかが問題です。
交際費等の範囲については、租税特別措置法施行令にも定めがあります。
第37条の5 交際費等の範囲
法第61条の4第4項第2号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項に規定する飲食費として支出する金額を当該飲食費に係る飲食その他これに類する行為に参加した者の数で除して計算した金額とし、同号に規定する政令で定める金額は、5000円とする。2 法第61条の4第4項第3号に規定する政令で定める費用は、次に掲げる費用とする。
一 カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手拭いその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用〔通達61の4(1)-20〕
二 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
三 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用
交際費の範囲を見てみると、レッスン代は交際費に含まれてはいないようです…飲食代、カレンダー、会議費、新聞…ということで、交際費の前段階で支出した経費は交際費には該当しなさそうです。
あくまでも、交際費に該当するためには、取引先や仕入先の存在が必要です。ゴルフレッスンは基本的にはコーチと行うものです。と考えると、ゴルフレッスン代は交際費として経費計上するのは難しそうです。
福利厚生費
交際費としてゴルフレッスン代を計上するのは難しそうでした。それでは福利厚生費として計上する余地はどうでしょうか。
税務上の福利厚生費として費用計上するには、一般的に以下の要件が必要です。
- すべての従業員が対象。ある特定の従業員のみに対するものは×
- 一般的に常識の範囲内の金額
- 社内規定等の一定の基準
- 福利厚生費として計上するためには、最低限上述の要件を満たす必要があるのです。
今回のゴルフレッスン代について当てはめてみます。
・すべての従業員が対象。ある特定の従業員のみに対するものは×
→社長がゴルフの個別レッスンを受ける。ある特定の従業員のみに対するものに該当してしまいます。
・一般的に常識の範囲内の金額
→ライザップゴルフレッスン代は1回あたり約2万円でした。これを高いとみるか安いとみるかといえば、高いと答える方が多いのではないでしょうか。ライザップゴルフでなくても、ゴルフレッスンは金額が高いケースが多いのではないかと思います。
・社内規定等の一定の基準
→ゴルフレッスンについて社内規定があるでしょうか…社内規定にゴルフレッスンに関する福利厚生規定が盛り込まれていることは少なそうです。
以上を勘案してみると、社長のみがゴルフレッスンを受講するので福利厚生費として経費計上することは少し難しそうです。
役員給与
交際費、福利厚生費としてレッスン代を計上するのは難しそうでした。
結論からすると、ゴルフレッスン代を役員給与として計上することは可能です。
役員給与には経済的な利益も含むとされており、経済的な利益に該当するものについては法人税法基本通達9-2-9に列挙されています。
9-2-9 法第34条第4項《役員給与》及び法第36条《過大な使用人給与の損金不算入》に規定する「債務の免除による利益その他の経済的な利益」とは、次に掲げるもののように、法人がこれらの行為をしたことにより実質的にその役員等(役員及び同条に規定する特殊の関係のある使用人をいう。以下9-2-10までにおいて同じ。)に対して給与を支給したと同様の経済的効果をもたらすもの(明らかに株主等の地位に基づいて取得したと認められるもの及び病気見舞、災害見舞等のような純然たる贈与と認められるものを除く。)をいう。(平19年課法2-3「二十二」により追加、平22年課法2-1「十八」により改正)
…
(9)役員等に対して機密費、接待費、交際費、旅費等の名義で支給したもののうち、その法人の業務のために使用したことが明らかでないもの
(10)役員等のために個人的費用を負担した場合におけるその費用の額に相当する金額
…
(9)と(10)において、交際費として支出したもののうち法人の業務のために使用したことが明らかでないもの、個人的費用を会社が負担した場合は役員給与等のに含めるとされています。
ということからも、ゴルフレッスン代は交際費として計上することは難しいですが、役員給与として計上することになりそうです。
役員給与として計上した場合の税金は?
ゴルフレッスン代を法人で支出した場合は、役員給与として計上することになりそうです。
この場合の課税関係を検討してみます。
”ゴルフレッスン代を支払った”法人
中小企業の役員給与は、定期同額給与(毎月の給与が定額)と事前確定届出給与(毎月の定額給与以外にボーナスを支払うのであれば税務署へ事前の届出が必要)でなければ損金計上が認められていません。
今回のゴルフレッスン代は、定期同額給与にも事前確定届出給与にも該当しないと考えられますので、ゴルフレッスン代を法人が支払った場合は税務上損金として認められないことになります。
社長
役員給与として会社がゴルフレッスン代を負担してくれています。
本来的なお金の流れとしては、こちらの流れです。
今回は次のようにお金が動いています。
つまり、本来的なステップを飛ばしているだけです。
社長はゴルフレッスン代という経済的利益相当額が給与として上乗せされます。
ゴルフレッスン代だけ、社長の給与が増える
↓
社長の年収が増える
↓
税金が増える
つまり、現金で給与を受け取っている場合と同じ税金になります。
まとめ
ゴルフのレッスン代は交際費または福利厚生費等の経費として計上することが難しそうです。
役員報酬とすると、会社では損金不算入、個人では所得税課税となり全く税務メリットがありません。
会社からレッスン代を支払うと、社長自身の財布が痛まない気がするというメリットがあります。税金以上に精神的なメリットを享受できるので、会社から支払うのも悪くはないかもしれません。
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起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。
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