こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
仮想通貨法人を設立し、仮に従業員を雇うほどの規模になった場合、従業員への給与の支払いを仮想通貨で支払えたらなぁ~と考えるケースもあるのではないでしょうか。
従業員への給与を仮想通貨で支払った場合の税務上の取り扱いをご紹介します。
【仮想通貨法人設立メリット・デメリットについてはこちらをご覧ください】
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税務上は「現物給与」に該当!
日本法人が従業員等に対して支払う給与のうち、仮想通貨による給与の支払いは、税務上「現物給与」に該当するとされています。
現物給与とは、日本円以外のものを従業員等が支給された場合に使用する税務上の単語です。
簡単な例でいえば、会社が特定の人だけを旅行へ連れて行った場合、特定の人に対して「現金」ではなく「旅行」を支給したと考えるのです。
具体例:日本円で50万円を支給するところ、日本円40万円+1ETHを支給(1ETH=10万円)。
基本的な考え方として、日本円40万円と1ETHを支給する場合は、50万円相当の給与の支給があったとして考えます。
源泉徴収も日本円で本来支払うべき金額の50万円を基準として源泉徴収することになります。
支給された従業員での仮想通貨の取扱い
50万円をベースに、所得税が源泉徴収され、日本円40万円から社会保険料及び住民税等が控除された金額が銀行口座へ振り込まれます。仮想通貨で支給される1ETHは恐らく指定したウォレットに送金されるはずです。
従業員は1ETH=10万円で取得したことになるので、1ETH =100万円の時に売却すると90万円(100万円-10万円)が雑所得として課税されることになります。
値上がりしそうな仮想通貨で支給してくれれば良いですよね。総合課税で課税はされてしまいますが、税金を引いたとしてもプラスがでるはずですから。まぁ、反対だと困りますが・・・・
支給した法人での仮想通貨の取扱い
仮想通貨を給与の一部として支給した法人での取り扱いは、次のようになると考えられます。
前提として、法人は1ETH=1万円で購入しているとします。
給与 | 50万円 | / | 現金 | 30万円 | |
/ | 預り金 | 5万円 | |||
/ | ETH | 1万円 | |||
/ | ETH売却益 | 9万円 | |||
このような仕訳になりますが、法人が仮想通貨を安く仕入れている場合は、売却益が生じてしまうため、現金で支給した場合に比べ売却益9万円分だけ経費に計上できる金額が少なくなってしまいます。
仮想通貨で給与を支給しようとする法人にとっては、現金の流出がないためメリットがないとは言えませんが、この点を留意していただければと思います。
労働基準法違反の可能性があるので注意が必要
そもそも、給与の一部を仮想通貨で支払うことは可能なのでしょうか。労働基準法には賃金について定めている有名な条文があります。簡単にまとめると以下の5つを順守する必要があるのです。
1.通貨払いの原則:賃金は「通貨」で支払わなければならない。
2.直接払いの原則:賃金は「直接」労働者に支払わなければならない。
3.全額払いの原則:賃金は「全額」支払わなければならない。
4.毎月一回以上支払いの原則:賃金は「毎月一回以上」支払わなければならない。
5.一定期日払いの原則:賃金は「一定の期日を定めて」支払わなければならない。
ここで問題になるのが、「通貨」で支払わなければならないという通貨払い原則を満たしているのか、という点です。仮想通貨は「支払い手段(プリペイドカードや電子マネー)」としては認められていますが、通貨ではないです…
労働基準法に抵触してしまうような気がするので、この点は注意が必要です。
まとめ
仮想通貨で給与を支給したという発想はとても面白いですよね。資金繰りもよくなるので、仮想通貨市場が上昇基調の時はありだと思います(労働基準法の問題は別として)。
ただ、下落が続くと、本来受取るはずであった日本円>>>仮想通貨の価値、とる場合もあるわけで従業員等から不満もでてくるかもしれません(本来的には従業員の自己責任のはずですが)。
実際問題、コインチェック社のXEM盗難事件から、仮想通貨の価額が暴落しています。暴落の理由はコインチェックの件は関係なく、世の中のリスクマネーが安全資産に移動しているだけという説もありますが…早く騒動が落ち着くことを祈っています。
諸所の事情から無理だとは思いますが、、少なくとも、XEM以外の通貨の引き出しをOKしてください。
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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
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創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。
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