こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
前回、「【確定申告】不動産で節税?所得税法上の取扱い」という記事をご紹介させていただきました。簡単に言えば、不動産賃貸業で赤字が出た場合には、赤字を他の所得と相殺できますよという制度です。
詳細はこちらをご覧ください。
それでは、不動産の譲渡損がでた場合にも他の所得と相殺できるのでしょうか?
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不動産の譲渡損は、他の所得と相殺できない
仮想通貨の「雑所得」が億単位ででている方々から、節税の方法がないのかとのお問い合わせをいただきます。
よくある質問
といった質問。
回答:残念ながら、相殺できません
この質問には何点か問題点があります。
問題点①:個人が法人に資産を低額で譲渡
不動産の譲渡は、税務上時価で行われます。
時価とはいったいなんだ?という話になりますが、当該不動産を第三者から購入するときの価額だと考えてもらえれば結構です。
自分の設立した資産管理会社と、自分自身の間の売買であれば自由に売買価額を決定できてしまいます。これが1つ目の問題点です。
自由に不動産の売買価額を決めることができるとすると、本来は売却益が生じるケースであっても、売却益を計上しないような価額とすることもできてしまいます。
それでは不平等であるため、課税の公平のためにも、税務上は時価で取引をしたものとして課税がなされるのです。
「個人が法人に資産を低額で譲渡」し、損失を計上したとしても、当該取引価額が時価よりも低額である場合には、時価で売買したとみなして譲渡所得が計算されることになります。
同族関係者間の取引は税務調査でも詳しく検証されます(それだけ恣意性が介入しやすいということです)。第三者との取引と同じように、当事者間の同意があれば契約が成立というわけにはいきませんので注意が必要です。
問題点②:所得税法上、不動産の譲渡損失は損益通算から除外されている
当該スキームの問題点②は、不動産の譲渡損は事業所得や給与所得との損益通算が原則としてできません。
土地・建物の譲渡所得の範疇での損益の通算は可能ですが、他の所得との損益通算は一定の場合を除き認められていないのです。
一定の場合とは、以下の要件を満たす場合に生じた損失です。
- 長期譲渡所得に該当
- 居住用財産を譲渡
- 親族等への譲渡ではない等の要件を満たす必要があります。
「自分が住んでいるマイホームを買換えた際に譲渡損失が生じたとき」や「住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき」等の限られたケースのみ、事業所得や給与所得と損益通算することが可能です。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/joto/3203.htm
まとめ
不動産を個人から資産管理会社に移転することで、不動産譲渡損失を計上するスキームは、使えないことを理解していただけたでしょうか。
仮想通貨により「億」単位の利益を計上した方にとっては非常に酷ですが、少し考えて閃くような節税方法は税制改正によってほぼ防がれてしまっているのが現状です。
アメリカ等の海外不動産活用スキームもありますが、検討に時間がかかりますしイロイロ大変ですよね…いい雑所得圧縮スキームがあれば私に教えてもらいたいくらいです。
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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
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創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。
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