こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
年末調整の時期がやってきました。
住宅ローン控除で所得税が還付されるのを心待ちにしている方も少なくないのでは。
還付される方は特に問題ないですが、還付する所得税相当額を支払う会社に今日はフォーカスしてみたいと思います。
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役員・従業員に還付金が多額になる可能性あり
スタートアップ企業ではよくあるケースですが、前職の給与と起業1年目の給与が大幅に異なる場合は「会社が源泉徴収している金額」が「還付する所得税額」よりも大幅に少ないケースがあります。
具体例
9月から起業したケースで考えてみます。社長1人で起業したため年末調整も社長1人分です。
【前職】1月から8月まで勤めて8か月で1000万円、源泉徴収税額100万円
【起業後】9月から12月まで4か月で80万円、源泉徴収税額1万円
年末調整を行った結果、社長には30万円が還付されるようです。
会社としては、社長に30万円を支払わなければなりません。しかし、設立以来社長から源泉徴収してきた金額はわずか1万円です…
会社の仕訳例
【給与支払時】
役員報酬 80万円 / 現金(社長へ) 69万円
/ 預り金(源泉税) 1万円
/ その他 10万円
【源泉税支払い時】
預り金(源泉税) 1万円 /現金(税務署へ支払い) 1万円
【年末調整時】
立替金 30万円 / 現金(社長へ) 30万円
立替金の処理はどうするの?
この立替金の性質は、社長が納付すべき税金を会社(前職と現職)があらかじめ徴収していたものの精算金です。納付すべき税金のほとんどをあらかじめ徴収していたのは、前職にもかかわらず現職の会社が社長に支払っては現在の会社がその分損をしてしまいます…
安心してください、しっかりと取り戻すことができます!
立替金を回収する方法は2つ
取り戻す方法は次の2通りです。
①次回の源泉徴収から控除
②税務署へ還付請求する
多くのベンチャー企業では源泉税の納期の特例を適用していると思うので、実質的には②の方法になると思います。
①次回の源泉徴収から控除
翌月の源泉徴収税額へ「立替金」を充当する方法です。
立替金が源泉徴収に全額充当できればそれで手続きは終了です!
しかし、これではまだまだ立替金が多額に残ってしまうケースがあります。
この場合に②税務署へ還付請求する方法をとることになります。
②税務署へ還付請求する
手続きがめんどうです。
資金繰りの苦しいベンチャー企業がポジティブにとらえるべき点は、税務署への面倒な書類さえ記載して、還付請求すれば、立て替えて支払った税金が還付されるのです。早速還付請求してみるしかないですね。
必要書類
・請求書(兼残存過納額明細書)
・国税還付支払内訳書
・給与等の支払者が年末調整により過納額が生じた給与等の受給者各人から過納額の請求及び受領権限の委任を受けている旨の「委任状」
・年末調整により過納額が生じた給与等の受給者ごとの給与所得の源泉徴収簿(過納額が生じた年分と過納額を還付する年の2年分)
等必要に応じて追加提出資料があるようです。
なんだか提出書類が多いので面倒ですが、還付してもらうためには頑張って書類を記載しましょう。
まとめ
起業1年目の12月は税務周りでやるべきことが沢山発生します。
年末調整を行うだけでも大変なのに、源泉税を税務署に還付請求しなければならないとなると、手間でしかありません。
起業1年目のスタートアップ企業では資金が潤沢な会社は多くないと思いますので、手間ではありますが、早期に還付してもらえる手続きを経て還付してもらうことをお勧めします。
お金はいつでていくかわかりませんから、余裕を持たせて手元に置いておくのが一番です。
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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
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