こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
2019年10月1日以後からはついに、消費税が10%に増税されます。
そこで本日は不動産オーナーが注意すべき消費税の取扱いについてご紹介いたします。
ちなみに、居住用ではなく、オフィス物件をお持ちの方が対象です。
アパート等の居住用物件に関する賃料収入は消費税が非課税(消費税は課されない)ためです。
不動産賃借料の税率
不動産に賃借料には大きく分けて2つの受け取りパターンがあると思います。
前払いパターンとは、4月分の家賃を3月に受け取っているパターンです。
当月分家賃を前月●日までに支払うこととする、と契約書に記載してあるケースと思います。そして多くの不動産賃貸借契約書は、この前払いパターンです。
後払いパターンとは、4月分の家賃は5月●日までに支払ってくださいというパターンのものです。
不動産の契約が前払いパターンとなっているのか、後払いパターンになっているのかで、2019年9月、10月には少し注意が必要です。
1.前払いパターンの場合
前払いパターンの場合は2019年9月に受け取る10月分の賃料は、10月分家賃収入に対応するものであるため、消費税率は10%が適用されます。
消費税の増税は10月1日からなので9月に受け取る賃料も消費税率は8%だと考えていると、うっかり騙されてしまいます。
9月に受け取る10月分の賃料であるため10%の消費税率が課されるということです。
2.後払いパターンの場合
後払いパターンの場合、つまり9月分の賃料を10月に受取るパターンです。
消費税増税後であっても、消費税率8%の時代の賃料に関するものであるため、10月に受け取ったとしても8%の消費税率が適用されます。
経過措置に要注意
2013年10月1日から2019年3月31日までの間に締結した契約のうち、2019年10月1日前から継続して賃貸をしている場合は、経過措置(つまり、8%の税率)が10月1日以降にも適用されることになります。
経過措置を適用するためには一定の要件を満たす必要があります。
旨の定めがないこと。
の定めがないこと並びに当該貸付けに係る資産の取得に要した費用の額及び付随費用
の額(利子又は保険料の額を含む。)の合計額のうちに当該契約期間中に支払われる当
該資産の貸付けの対価の額の合計額の占める割合が100分の90以上であるように当該契
約において定められていること。
「①と②」又は「①と③」を満たす場合に、経過措置の適用があります。
経過措置の適用を受けている場合、事業者(不動産オーナー)は賃借人に対して経過措置の適用を受けている旨を書面で通知する必要があります。
対価の額が定められていることとは?
「対価の額が定められていること」、とはどのようなことでしょうか。
この点、「消費税の平成 31 年(2019 年)10 月1日以後に行われる資産の譲渡等に
適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A【具体的事例編】」
には以下のような事例が紹介されています。
契約期間中に、賃料は変動するものの、契約書にあらかじめ賃料が定められていることから、「対価の額が定められていること」に該当します。
「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」旨の定めがあった場合は、「事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の変更を求めることができる旨の定め」には該当しないものとして取扱うと経過措置通達にて定められています。つまり、他の要件を充足する場合には経過措置の適用があるということです。ただし、2019年4月1日以後に賃貸料を変更した場合には、変更後の賃料については経過措置の対象とはならない点に留意が必要です。
協議の上、という条件付きであっても、対価の変更が可能であることには変わりないということから、「対価の額が定められていること」には該当しません。
経過措置は強制適用
経過措置、なんだか面倒な感じです。
経過措置は選択適用ができるのか?
できるのであれば、2019年10月1日以降に受取る賃料については全て10%で計算するよ、面倒だから!とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、残念なことに、消費税の経過措置については選択適用ができないとされています。強制適用のようです。しっかりと、経過措置の適用があるものと、ないもので取り扱いを変えて下さいということになります。
まとめ
不動産オーナーの方々、もしくは不動産と賃借している方々、不動産取引は消費税の経過措置のオンパレードです。
顧問税理士がいらっしゃる方については、顧問税理士から解説があると思いますが、ない場合はご自身で少し気にしてみてはいかがでしょうか。
【少しだけ相談したい方向けに、スポット相談も実施中です】
創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。
【プロフィール】
・プロフィール
【主な業務内容】
・スタートアップ支援
・事業承継対策
・M&Aサービス
・税務顧問業務
・個別コンサルティング業務
公認会計士・税理士澤田憲幸に問い合わせしてみる
起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。
会社設立直後で税金・会計・財務まで手が回らない経営者の方、今の顧問税理士にご不満のある方、事業承継対策に悩んでいる方、M&Aの話を金融機関等から提案されたが得な話か損する話か判断ができない方は一度ご相談ください。
税務・財務の知識の有無で経営判断は大きく変わってきます。
澤田公認会計士・税理士事務所が貴社のブレインとなって全面的にサポートさせていただきます。