【確定申告】マンションを売った場合の税金のまとめ。特別控除は要注意。

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

確定申告に関するお問い合わせが増えてきました。

残すところ2018年もあと2ヶ月ですもんね。1年はアッという間だ。

2018年は不動産市場も良い感じでした。

マンションを売却した方の中には、数年間住んだのに買ったときの価額よりも高く売れた!という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この場合の税金、どうなるかご存知でしょうか?

原則:居住用マンションを売却しても税金はかかる

マンションを購入した金額よりも高い価額で売却できたラッキーな方!手放しで喜んでいてはいけません。売却益には税金が課されます

給与と同じように、所得税と住民税が課されてしまいます。とはいえ、計算方法が全く違うので注意が必要です。

税金の対象となる金額

売却価額すべてに税金が課されるわけではありません。

いわゆる「もうけ」の部分だけに税金が課されるのでその点はご安心ください。

計算式で表すとこんな感じです。

譲渡所得=売却価額 ー (取得価額+譲渡に要した費用)

売った値段が、買った値段よりも上回っている部分「もうけ」に税金が課されるイメージです。

税率は?長期と短期で異なる。

それでは何パーセントの税率が課されるのでしょうか。

居住用のマンションを売却した場合、マンションの保有期間が5年超か否かで税率が変わってきます。

長期:所得税15%、住民税5%の合計20%(復興特別所得税を除く)
短期:所得税30%、住民税9%の合計39%(復興特別所得税を除く)

長期と短期の区別はマンションの所有期間で区別します。

所有期間はマンションを売却した年の1月1日時点で判定

マンションを売却した年の1月1日時点で、5年超過否かを判定します。

マンションを売却した日が2018年11月1日であっても、マンションを売却した年(2018)年の1月1日時点で5年超を判定します。

つまり、2018年10月28日でマンションの保有期間が5年、11月1日時点では5年超だから「長期」に該当するのではありません。この場合は2018年1月1日時点では4年+αなので、5年未満となり、「短期」に該当します。

税金計算にはトラップが仕掛けられていることが多々ありますが、これも数多くあるトラップの一つです…

短期と長期では税率が倍近く異なるので、注意したいポイントの一つではあります。

税金ファーストで物事を考えると、マンションの売却価額が思ったよりもつかなかった、マンションが売れなかったということがあるわけで、悩ましいところです。

例外:3000万円の特別控除

居住用マンションを売却しただけで税金が課されます!

っていうことになると、マンションを買い替える人や不動産を売却する人が減ってしまう懸念があります。不動産業者さんは真っ青です。

そのようなことにならないよう、居住用マンションの売却益から3000万円を控除できる特別制度があります。この制度が素晴らしいのは、物件の所有期間にかかわらず、最大3000万円も売却益から控除できるところにあります。

要件:それほど難易度は高くない

3000万円の特別控除を受けるためには以下の要件を満たすことが必要です。

それほど難易度が高いものはありません。

(1) 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。

なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。

(2) 売った年の前年及び前々年にこの特例(「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例」によりこの特例の適用を受けている場合を除きます。)又はマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。

(3) 売った年、その前年及び前々年にマイホームの買換えマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと。

(4) 売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

(5) 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(注)に売ること。

(注)東日本大震災により滅失した家屋の敷地の場合は、災害があった日から7年を経過する日の属する年の12月31日までとなります。

(6) 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。

特別な関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

(1)は自分の住んでいる家屋を売る場合に適用がありますよ、というものです。

(2)~(4)は、前年及び前々年等に他の特例を受けていないこと。

(6)は第三者の売買であれば問題ありません。

注意点:住宅ローン控除が使えない

多くの方が3000万円の特別控除の要件を満たすのではないでしょうか。

マンションを買った金額よりも高値で売却し、そのお金で新たなマンションを購入。

再度、住宅ローン控除の適用を受けようと考えても、マンションの売却益に対して3000万円の特別控除を適用した場合、住宅ローン控除の適用ができないのです。

住宅ローン控除を適用する要件の1つに抵触してしまうのです。

ちなみにこれが住宅ローン控除の適用のための要件です。

  1. 取得の日から6か月以内に住むこと
  2. 合計所得金額が3000万円以下であること
  3. 取得した住宅の床面積が50平方メートル以上であること
  4. 10年以上の住宅ローンがあること
  5. 居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例など(租税特別措置法31条の3第1項、35条1項(同条3項の規定により適用する場合を除きます。)、36条の2、36条の5若しくは37条の5又は旧租税特別措置法37条の9の2)の適用を受けていないこと。

5.にある、居住の用に供した年とその前後の2年ずつの5年間に租税特別措置法35条1項(3000万円の特別控除のこと)の適用を受けていないこと、という要件があります。

3000万円の特別控除を受けると、住宅ローン控除がその年を含めて3年は適用できないのです。

平成30年の売却益に対して特別控除を受けた場合、平成33年以降に住宅を購入すれば住宅ローン控除の適用が可能です。

住宅ローン控除は最大40万円/年

40万円/年×10年間、所得税額を減らすインパクトがある住宅ローン控除を適用するのか、3000万円×税率(20%/短期 or 39%/長期)を適用するのかはよくよく検討が必要です。

何も考えず、3000万円の特別控除を適用すると実は損という可能性もあるわけです。

その他:買換え特例等、特例が沢山ある。

今回は居住用マンションを売却した際の3000万円の特別控除と住宅ローン控除の微妙な関係性を記事にしていますが、3000万円の特別控除以外にも特定の居住用財産の買換・交換の特例等不動産売買には特例が沢山あるので注意が必要です。

なお、契約書に貼る必要がある印紙税や、登記の際に必要な登録免許税は、売却益がでていなくとも当然課されます。

まとめ

居住用のマンションを売却し、「もうけ」ることができた場合は当然税金を支払う必要があります。

この「もうけ」が3000万円以下であれば税金を納める必要がない特例が存在します。

この特例を利用すると、「住宅ローン控除」の適用ができなくなるというトラップが存在します。。。

税法はいったいどうなっているんだ?一般の人にわかるはずがないじゃないかと思うような制度ですよね。このように税法はあらゆる角度からの検証が必要です。

インターネット上にある断片的な情報から判断すると、検討漏れ等で損するかもしれません…そのようなことがないように早め早めに専門家に相談することをお勧めいたします。

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顧問契約の他に、会計・税務に限らない、個別コンサルティングも行っています。 個別コンサルティングでは個別税務相談をはじめとし、会計士試...
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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
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はじめまして。愛知県名古屋市池下の公認会計士・税理士澤田憲幸です。

起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。

会社設立直後で税金・会計・財務まで手が回らない経営者の方、今の顧問税理士にご不満のある方、事業承継対策に悩んでいる方、M&Aの話を金融機関等から提案されたが得な話か損する話か判断ができない方は一度ご相談ください。

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