こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
ありがたいことに、会社設立直後の方から沢山のご相談をいただいております。
会社設立後に、税務相談に来られる方が多いのですが、共通して気になる点が1点あります。
それは「決算期」です。
なぜ決算期が気になるの?決算期はいつにするのが正解なのか?決算期変更の方法について解説します。
なぜ決算期が気になるの?
会社設立時に会社設立初年度の決算期を事業年度を定める必要がありますが、特に何も考えずに初年度の事業年度を1年未満にしているケースが多いです。
6月に会社を設立。初年度の決算期は3月。設立初年度は10か月。
この場合、会社設立してから1年経たずして決算をむかえることになります。
決算期が気になる理由としては、決算をしめる=納税が生じるという点が挙げられます。当然税理士へ報酬も支払わなければならないという、資金繰りの観点からも決算は遅い方が良いです。
これらの理由から消費税の課税事業者、免税事業者を選択する関係で設立初年度の事業年度を7か月以内に設定する必要がある等のケース以外では、設立初年度の事業年度は12か月に近ければ近いほど良いと考えられます。
決算期はいつにするのが正解?
設立初年度の決算期は極力長い方が良いです(消費税の課税事業者・免税事業者の検討が必要な場合は別途検討が必要です)。
それではいつに決算期をすべきなのか?という話です。
決算期問題は非常に悩ましいですが、諸説あります。
- 閑散期を決算期にすべき説
- 売上が上がる月を事業年度の初期にすべき説
1.閑散期を決算期にすべき説
1.閑散期を決算期にすべき説は、閑散期であれば本業が忙しくないため決算が閉めやすいという理由が挙げられます。
繁忙期と決算期が重なると、決算に集中できなくなるので余裕をもって決算対応ができなくなってしまいます。
2.売上が上がる月を事業年度の初期にすべき説
これは売上が最も上がるであろう月を事業年度の最初の方に持ってくることで、残りの期間が多くなります。
節税対策に時間をかけることができることが一番のメリットです。
売上や利益が上がっているからこそ、節税対策が効果を発揮します。事業年度の前半に売上を立ててしまえば、残りの事業年度を通して十分な節税対策を行うことが可能です。
決算期変更の方法
決算期の変更は、書類の整備をすればできます。難しくはないのでご自身でも対応可能です。
1.株主総会で定款変更をする
事業年度は定款に定められています。
そのため、事業年度を変更するためには、定款を変更する必要があります。
定款変更は株主総会の特別決議事項です。
株主総会の議案としては、
議案 定款変更
定款の以下の条項を変更し、事業年度の変更を行うこととする。
【現状の定款】第〇条:当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までの年1期とする。
【定款変更後】第〇条:当会社の事業年度は、毎年6月1日から翌年5月31日までの年1期とする。
このような形で、変更する定款の該当箇所と変更後の内容がわかるような議事録にしておけば大丈夫です。
事業年度は登記事項ではないので、登記の必要はありません。登記が必要ないという意味で、事業年度は費用負担なく変更ができます。
2.届出書の提出
登記は不要ですが、届出書を提出する必要があります。
届出書の提出先は、税務署・県税事務所・市税事務所です。
登記簿謄本には、決算期が記載されないため、届出書を提出し決算期が変更したことを伝えてあげる必要があります。
添付書類:株主総会議事録のコピーと変更後の定款
手続きとしてはこれで終わりです。
いつでも決算期は変更可能
決算期変更は原則としていつでも変更が可能です。
先ほどの6月設立、3月決算としていた会社であれば、3月末までに定款変更の株主総会等の必要な手続きを経ることで最長5月決算に変更することができます。
【注意点】
・税務上、事業年度は1年を超えることができません。1年を超える事業年度の場合は1年ごとに決算期を区切る必要があります。
・決算を迎えたのちに、過去に遡って決算期を変更することもできません。ある程度余裕をもって決算変更を行う必要があるということです。
まとめ
決算変更の手続きはそれほど難しくありません。定款を変更し、届出書を提出するだけです。
決算期をいつにすべきか、という点を考慮すると少し検討が必要です。
設立初年度は1年弱にし、事業が回ってきて、繁忙期・閑散期の周期がわかるようになったら改めて決算期を変更することも検討する方が望ましいかもしれません。
決算期変更は会社の事業運営に大きな影響を与えるので、じっくりと検討するようにしましょう。
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