こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
事業承継補助金(事業再編・事業統合支援型)の公募が開始されました。
事業承継に補助金がでる?!と初めて耳にした方も多いと思いますので、内容を簡単にですが説明させていただきます。
事業承継補助金「M&Aタイプ」(事業再編・事業統合支援型)とは?
事業再編や事業統合を契機として、
- 経営革新等
- 事業転換
を行う中小企業者に対して、その取り組みに要する経費の一部を補助してもらえる制度です。
経営革新等とは?
経営革新等の例として次のようなものが例示されています。
- ビジネスモデルの転換(新商品、新分野への挑戦等)による市場創出、新市場開拓 等
- 新規設備導入(製造ラインのIT化、顧客管理システム刷新等)による生産性向上 等
- 新商品の開発または生産
- 新役務の開発又は提供
- 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
- 役務の新たな提供の方式の導入
出典:http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2018/180703shoukeiGaiyo.pdf
事業転換とは?
事業所の廃止や事業の集約・廃止を伴う場合は、当該廃止等に要する費用について補助上限額を上乗せ(廃業費用の上限最大600万円)して補助
出典:http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2018/180703shoukeiGaiyo.pdf
注意点:M&Aそのものに補助金が出るわけではない
事業承継補助金M&Aタイプと書いてあるため、M&Aを実行するための費用に対して補助金が支給さえるような気がしてしまいますが、M&A実行費用に出されるわけではありません。
あくまでも、事業承継後の新たな取り組みを支援するための補助金です。新たな取り組みに対するものであるため、当然ですが、新たな取り組み(経営革新等や事業転換)といった取り組みを行う予定がない場合は補助金を受取ることは難しいのではと考えられます。
「募集要項」のP14に、M&A仲介手数料やデューデリジェンス費用、M&Aコンサルティング費用等は【対象とならない経費の一部】に明示されています。
対象者
事業承継補助金(M&A型)の対象者は以下を満たすものとされています。
- 平成27年4月1日から、補助事業期間完了日(最長平成30年12月31日)までの間に事業再編・事業統合を行った又は行うこと。
- 取引関係や雇用によって地域に貢献する中小企業であること。
- 経営革新や事業転換などの新たな取組を行うこと。
要件は3つしかありませんが、内容としては結構大変です。
1.事業再編・事業統合のM&A等を完了してる必要がある
まず、平成27年4月1日から(最長)平成30年12月31日までに、事業再編・事業統合が完了していなければなりません。当該補助金は基本的には、現時点でM&A等による事業承継が完了している人向けのせいです。
今からM&Aをしようかなと検討している方が本制度を利用するのは時間的に少々厳しいものがあります。というのも、最長平成30年12月31日までに事業再編・事業統合が完了している必要がありますが、現時点でM&Aの相手も見つかっていない場合、スケジュール的にギリギリもしくはちょっと厳しいためです。
2.地域に貢献する中小企業
地域経済に貢献している中小企業が補助金の対象です。
地域で雇用の創出、雇用の維持をしていること、特産品を生産販売していること等により、地域経済に貢献している必要があります。
- 地域の雇用の維持、創出などにより地域経済に貢献している。
- 所在する地域又は近隣地域からの仕入(域内仕入)が多い。
- 地域の強み(技術、特産品、観光、スポーツ等)の活用に取り組んでいる。
- 所在する地域又は近隣地域以外の地域への売上(域外販売)が多い(インバウンド等による域内需要の増加に伴う売上も含む)。
- 新事業等に挑戦し、地域経済に貢献するプロジェクトにおいて中心的な役割を担っている。
- その他、当該企業の成長が地域経済に波及効果をもたらし、地域経済の活性化につながる。
なお、中小企業者の定義は中小企業基本法第2条に定められているものが原則として対象になっています。
業種分類 | 定義 |
製造業その他 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主 |
サービス業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
3.経営革新や事業転換などの新たな取組を行うこと
こちらは前述の通りです。
新たな取り組みに対して補助金が出されるので、どのような取り組みを新たに行うのか、検討する必要があります。
「募集要項」も公表されていますので詳細はこちらをご覧ください。
公募期間
公募期間は1か月ちょっとです。あまり時間がありません。
申込みを検討している方は、1日でも早く、「認定支援機関」である公認会計士・税理士等の専門家にその旨を連絡しましょう。
まとめ
平成27年4月1日から平成30年12月31日(最長)までに事業承継が完了しており、新たな取り組みに挑戦しようと検討している企業にとっては非常に魅力的な制度ではないでしょうか。
昨今、事業承継問題が深刻になってきています。事業承継関連で補助金が支給されるのは非常に喜ばしいことですが、「事業承継そのもの」に対する補助金もより手厚くなるといいのにな、と個人的には感じているところです。
顧問税理士に相談しても、事業承継について迅速に対応してもらえないという声を聞きます。顧問契約の範囲に含まれていない可能性もありますが、それ以上に顧問にノウハウがないケースも考えられます。
事業承継問題でお困りの方は、澤田公認会計士・税理士事務所までご相談ください。最適な解決策を検討させていただきます。
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