こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
実は、私の趣味はランニングです。週に5キロ~10キロは走ることをミッションとしています。
2016年にはフルマラソン(揖斐川マラソン)を完走しました。フルマラソン完走者ですから、マラソン税理士と呼んでください。最近はもっぱらランニング税理士ですが。
会社の行事としてフルマラソンに参加した場合の参加費は、会社負担にできるのでしょうか?
経費計上ができるか
フルマラソンの参加費を法人で費用計上できるとすると、広告宣伝費、福利厚生費、交際費のいずれかに該当すると思われます。
広告宣伝費
フルマラソンに参加することで、企業の認知度がアップし、広告宣伝効果というリターンを得たというのであれば広告宣伝費として費用計上することは可能です。
ただし、広告宣伝費として計上するためには、フルマラソンの協賛企業であるか、社員がフルマラソンに何かしらの形で参加する必要があると思います。つまり、会社をあげてフルマラソンに協力する必要があるということです。
仮に、従業員30人の会社のメンバー3人が、参加者7000人のレースに社名入りユニフォームで参加したとしても、参加者の7000分の3の割合です…これでは、広告宣伝効果を期待することは難しいと判断するしかないのではないでしょうか。
有志のメンバーでマラソン大会に参加したのでは、広告宣伝費として計上することは難しいそうです。
福利厚生費
会社の福利厚生の一環としてマラソン大会に参加した場合に福利厚生費として費用計上できるのか検討してみます(福利厚生の一環であっても、マラソン大会には参加したくないという方のほうが多いかもしれませんが)。
税務上の福利厚生費として費用計上するには、一般的に以下の要件が必要とされます。
- すべての従業員が対象。ある特定の従業員のみに対するものは×
- 一般的に常識の範囲内の金額
- 社内規定等の一定の基準
福利厚生費として計上するためには、最低限上述の要件を満たす必要があるのです。
フルマラソン参加費について当てはめてみます。
→フルマラソンに参加するのは恐らく、全従業員のうちの少数派です…
→フルマラソンに参加費は超高額というわけでもないでしょうから、この要件は満たすケースが多いと考えられます。
→フルマラソンについて社内規定があるでしょうか…社長がマラソン好きでない限り、社内規定にフルマラソンが盛り込まれていることは少なそうです。
課税しない経済的利益……使用者が負担するレクリエーションの費用)
36-30 使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、使用者が、当該行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く。)に対しその参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない。
交際費
中小企業には交際費の枠がざっくり800万円あります(実際の交際費はもっと複雑です。詳細は別途お尋ねください)。
福利厚生費に計上できないのであれば、次に検討できる余地があるのは「交際費」です。
交際費の意義については通達で以下のように記載されております。交際費等は、「得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する~支出」であるとされており、取引の円滑化を図るためのものであることがわかります。
(交際費等の意義)
61の4(1)-1 措置法第61条の4第4項に規定する「交際費等」とは、交際費、接待費、機密費、その他の費用で法人がその得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいうのであるが、主として次に掲げるような性質を有するものは交際費等には含まれないものとする。(昭57年直法2-11「十一」、平6年課法2-5「三十一」、平26年課法2-6「三十二」により改正)
- 寄附金
- 値引き及び割戻し
- 広告宣伝費
- 福利厚生費
- 給与等
交際費等には福利厚生費や給与等が除かれると通達に記載されています。
特定の従業員に対してのみフルマラソンの参加費用を負担すると、従業員が享受した経済的利益相当額を「給与」であると指摘される可能性があります。
とすると、フルマラソン参加費を社内交際費として計上することは難しそうです。
経費計上するのであれば給与が無難。
特定の社員のみに対する経済的利益の供与は給与として課税されます。
会社がどうしてもフルマラソン参加費を支出したいのであれば税務上の取扱いは、「現物給与」とするのがよさそうです。
会社の規模やフルマラソンに参加する人数によっては他の勘定科目で計上できる余地もあるかもしれませんが、特定の社員のみが参加するのであれば給与として課税するのがよさそうです。
まとめ
フルマラソンの参加費をどのような建付で会社が負担するのか、これにより税務上の取扱いは大きく変わってきます。
社員全員が参加の対象なのか、社内のレクリエーションとして行うのか、特定の一部の社員のみが参加するのかが判断基準としては重要です。
フルマラソンの参加費を一つ取っても、これだけ検討事項があります。
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