こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
久しぶりに仮想通貨のお話。
仮想通貨の現物出資による会社設立が実行されたニュースをご存知でしょうか。
概要:仮想通貨の現物出資により会社が設立された
仮想通貨の電子取引プラットフォームの構築を行っている株式会社Smart Contract Systemsがイーサリアム(9800万円)相当を現物出資し、シンプレクス株式会社が1億200万円を金銭出資してジョイントベンチャー(JV)を設立したようです。
現物出資とは
これがなぜ、ニュースになるのか?という疑問があると思います。
通常、会社を設立する際には、金銭で資本金相当額を払い込む必要があります。
会社法は例外を認めており、一定の要件を満たした場合には金銭以外の財産によって会社へ出資することが可能です。
不動産、有価証券、パソコン、自動車を現物出資するケースは多いです。
今回のケースでは、不動産等の代わりに仮想通貨を利用した点が目新しいのです。
現物出資には出資者に税金がかかる可能性がある
年末から年明けにかけて、仮想通貨法人に関する質問を多数いただきました。最近はめっきり質問がなく寂しい思いをしております。これは市場の関係でやむをえないことですが、年末年始は仮想通貨がバブっており、ビットコインも200万円は優に超えていくのではないのか?とお考えになっていた方が大勢いたためだと思われます。残念ながら今日現在では60万円台が見えてきています(60万円台は、2017年の11月頃と同じ水準…)。
含み損の仮想通貨を現物出資する場合
仮想通貨を現物出資する際に、このように含み損を抱えているのであれば現物出資時に税金はかかりません。
含み益のある仮想通貨を現物出資する場合
含み益がある仮想通貨を現物出資した場合、その時点で仮想通貨を譲渡したと考え所得税が課せられます。
仮想通貨には取引所があるケースが多いので、その時の時価で譲渡したとして所得税の計算をするか、弁護士や公認会計士等の調査で時価を算出してもらったのであればその価額を用いることになると考えられます。
現物出資をする出資者が法人の場合は当然含み益に対して法人税が課せられます。
仮想通貨法人を設立するかの判断ポイント
シンプレクス株式会社のプレスリリースによると、新会社設立の目的は次のように述べられています。
新会社設立の目的
仮想通貨取引の透明性や流動性の確保が求められるなか、大量取引を通してマーケットの流動性に大きな影響力を持つ仮想通貨LPが担うべき役割は拡大しています。このような状況に鑑み、シンプレクスとSCSは、健全な仮想通貨市場の発展に寄与することを目的として、仮想通貨LPを対象とした取引プラットフォームを提供する事業を共同で行うため、新会社を設立することに合意しました。
http://www.simplex.ne.jp/news/company/180329206.html
プラットフォームを提供する事業を共同で行うため、新会社を設立したとあります。
ここがポイントで、新会社設立のメイン目的は仮想通貨LPを対象とした取引プラットフォームの提供であり、仮想通貨の運用ではない点です。
個人で仮想通貨に投資を行っている方の多くは、法人のほうが節税できる、含み益をさらに増やしたいという理由です。
個人投資家の判断ポイント
個人で仮想通貨を運用している方が、仮想通貨法人を設立するかの判断は次の点を総合的に判断して決めるのが良いと思います。
1.仮想通貨の価額はこれから上昇していく
2.仮想通貨売却益に対する課税は総合課税(最大55%)のまま変わらないはず
3.法人は運用するのにコストがかかることを理解している(仮想通貨の記帳代行は通常の記帳代行よりも難易度が高いため税理士報酬が高くなる傾向にある)
4.現物出資時の税金は仕方ないと思える
【さらに詳細な仮想通貨法人のメリット・デメリットは以下をご参照ください】
まとめ
仮想通貨を現物出資して法人設立する会社がでてくるとはびっくりしました。時代の流れからすれば当然だとは思いますが。
法人が現物出資をすることで子会社を設立した点で、個人投資家の仮想通貨法人の設立とは若干毛色が異なりますが、現物出資には変わりません。仮想通貨による現物出資を検討している方には、現物出資が法務局に認めれもらえるという事例がわかっただけでも朗報だったのではないでしょうか。
余談ではありますが、株式会社Smart Contract Systems(2018年2月13日設立)は現物出資財産としてイーサリアムを9800万円相当も保有しているのです。この市場状況ですごいですね。
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