【事業承継】事業承継税制の抜本的拡大の予定!

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

昨日の読売新聞に事業承継税制の抜本的拡大を行うとの記事が掲載されていましたのでご紹介します。

自民党・公明党は今年度の平成30年税制改正大綱に事業承継税制の抜本的見直し案を盛り込む方針とのことです。

現状の事業承継の進捗具合

日本の状況として、経営者の高齢化が著しいです。

中小企業庁の公表によれば、66歳の経営者の数が最も多いようです。

5年後には30万人以上の経営者が70歳になるにも関わらず、6割の会社が後継者未定です。

一般的に、経営者の高齢化が進むと、企業の業績が停滞しする傾向にあります(体力、気力的な問題が大きいです)。

といった状況であり、日本の事業承継は円滑に進んでいるとはいいがたい状況です。

事業承継が進まない理由

事業承継が円滑に進まない理由として以下の点が挙げられます。

  1. 後継者はいるが、”今”がタイミングではないと考えている
  2. 身近(親族・従業員)に後継者候補がいない
  3. 自社の株価が高く、後継者に資金力がない

これらの問題点を改善するために、事業承継税制は創設されました。

事業承継税制を活用することで、自社株を後継者に贈与した際の贈与税や受贈者が死亡した際の相続税の課税を繰り延べることができます。当該制度が実務上で利用されれば日本の事業承継は税務負担もなく、円滑に進むはずでした。

しかし、適用要件が厳しすぎる、適用要件の中に不確定要素が多いため税務上リスクが高い等の理由から活用されているとはいいがたい状況でした。

改正案

今回の読売新聞に掲載されていた改正案を見ると、厳しすぎた適用要件の一部が緩和されているようです。

以下は、政府・与党が検討する「事業承継税制」見直しのポイントです。

1.5年平均で8割の従業員の雇用維持が必要 → 撤廃・緩和

:8割の従業員の雇用維持はできれば撤廃されるとありがたいなと個人的には思います。当然、事業を引継ぐために事業承継税制を適用するわけですが、5年先の経済状況は見通すことができません。リーマンショックのようなことが起きないとも限らないですし。

2.相続税・贈与税の納税を猶予 → 納税を減免
:事業承継税制を適用し、後継者への相続税・贈与税の納税を猶予し続けるというのが現状の制度ですが、非常にわかりづらいので、事業承継が無事に完了した場合には”減免”という措置ができると使い勝手が非常に良くなりますし、利用してみようというインセンティブが働くのではないかと期待します。
3.納税が猶予される株式は3分の2まで → 100%に引き上げ

:事業承継税制といえども、納税猶予されていたのは株式の3分の2まででした。つまり、3分の1は相続税が課税されていたのです。この3分の2という数字が事業承継税制の謎でした。事業承継に対するインセンティブを与えるのであれば、なぜ100%ではないのかと。今回の税制改正で100%になり、相続税・贈与税の納税が減免されるのであれば、楽しみな制度になりそうです。

4.事業を第三者に売却した場合の特例はなし → 登録免許税と不動産取得税を減免

:現状、親族または役員に対する特例のみしか用意されていませんが、第三者に事業を売却した場合の特例も用意されるようです。登録免許税と不動産取得税と記載があるため事業譲渡を想定していると考えられます。事業譲渡だけではなく、M&Aによって第三者に株式を譲渡した際の株式譲渡益を一定の場合は減免する等の特例が設けられると、さらに事業承継がスピード感をもって進められるのではないかと考えられます。

まとめ

事業承継の時期が遅くなればなるほど、中小企業の業績は伸びなくなります。

企業の業績が伸びなくなればなるほど、日本の国力は弱まってしまいます。事業承継税制が今以上に使いやすいものに改正されることは大歓迎です。親族内承継であっても、第三者承継であっても、次世代に経営権を移すことが重要です。

平成30年度の税制改正大綱で使い勝手の良い事業承継税制が公表されることを楽しみに待つとします。

愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
中小企業のM&A、事業承継、スタートアップ支援を得意としています。
創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。

代表プロフィール

【主な業務内容】
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はじめまして。愛知県名古屋市池下の公認会計士・税理士澤田憲幸です。

起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。

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