こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
T&Amaster(713)に仮想通貨の会計処理・実務対応報告案について記載があったのでご紹介させていただきます。
ビットコインやイーサリアム等の仮想通貨が流行りに流行っています。
仮想通貨を上場させる(ICO:Initial Coin Offering)ことも可能で、資金調達の新たな手法としても仮想通貨は注目されています。
今までは仮想通貨の会計上の取り扱いが不明瞭でしたが、必要最小限の項目について実務上の取り扱いを明らかにする目的で実務対応報告の原案が明らかにされました実務対応報告の原案は、「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(案)」というタイトルのようです。
今回は仮想通貨を保有する法人の会計処理についてコメントさせていただきます。
対象となる通貨
改正資金決済法に規定される仮想通貨が対象です。
改正資金決済法上、仮想通貨とは次のように定義されています。
5 この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
つまり、国の発行する通貨ではないが、支払いや決済手段となっているもの。ビットコインやイーサリアムは当然これらに該当してきます。
具体的な会計処理
期末における仮想通貨の評価は、活発な市場が存在するか否かによって評価方法が異なるようです。
活発な市場が存在とは、仮想通貨交換業者及び仮想通貨利用者の保有する仮想通貨について、継続的に価格情報が提供される程度に仮想通貨取引所または仮想通貨販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われる場合の市場のことをいう。
つまり、売買目的有価証券や外国通貨と同じように期末時のレートで評価します。そして取得価額との差額は、評価損益として損益計算書に計上します。
市場価額の市場はどこの市場?
仮想通貨の場合、仮想通貨取引所によって期末の価額が異なります。
この場合、どの市場の時価を使って評価すべきかという問題が生じますが、この場合は取引実績の最も大きい取引所の価格で評価することになるようです。
まとめ
現状、原案が公表されているのみで、不明瞭な点が多いです。例えば、取引実績の最も大きい取引所の価額を期末時価とするといわれても、どの取引所の取引実績が最も大きいのかを期末時点で自分で調べるのは非常に面倒です。仮に、仮想通貨取引所の運営会社が、ビットコインについては私たちが取引量No.1ですとウェブ上で宣言している場合はそれを真に受けてもいいものなのかどうか等。
11月には公開草案が公表され、意見募集が行われるそうですので、楽しみに待ちたいと思います。
個人的にはICOの会計処理方法が気になります。
ある人はトークンを発行するだけだから、「 (借方) 現金/ (貸方) 売上 」と言っていましたが、個人的には違う気がするようなしないような。売上に計上したら、法人税が課されるのか??いやいや、でも補助金を受取ったときは法人税は課税されるな、という頭の中が行ったり来たり状態です。早くICOの会計処理方法を含めて、仮想通貨に関する会計処理の方針を決めていただきたいものです。
*仮想通貨も注記の対象になりそうです(T&Amaster/717)。
愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
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