こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
我が家は共働きです。現在、妻は育休中で2017年の勤務先からの給与はゼロの見込みです。
今回は、共働き夫婦で産休・育休中家庭向けの節税方法をお知らせします。
いつもは使えない配偶者控除を忘れない!
12月31日の現況が次の要件を満たす場合は38万円の所得控除を受けることができます。これを配偶者控除と呼んでいます。
- 民法の規定による配偶者であること
- 納税者と生計を一にしていること
- 年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
共働き夫婦の場合、3.年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与収入が103万円以下)という要件を満たさないので配偶者控除を受けていないケースが多いと思います。
しかし、産休・育休中は会社から給与をもらえないことが多いと思います。そのような場合、給与収入が103万円以下に収まるケースもあるのではないでしょうか。
産休・育休中は配偶者控除を受けれる可能性があります
産休・育休中は、育児休業給付金を受け取ることができます。
このような疑問を抱いた方はいませんか。
【Q】
この育児休業給付金は配偶者控除の判定に影響するの?
そもそも育児休業給付金には税金がかかるの?
【A】
この育児休業給付金は配偶者控除の判定上、合計所得金額には含まれません。
育児休業給付金は課税されないことになっています。
国税庁のHPにも記載があります。
育児休業給付金の支給を受けている配偶者
Q6
育児休業給付金は、控除対象配偶者の判定上、合計所得金額に含める必要があるのでしょうか。
A6
雇用保険法第61条の4の規定に基づき支給される育児休業給付金は、同法第10条に規定する失業等給付に該当し、同法第12条の規定により課税されないこととなっていますので、控除対象配偶者に該当するかどうかを判定するときの合計所得金額には含まれません。
国家公務員共済組合法第68条の2や地方公務員等共済組合法第70条の2に規定する育児休業給付金についても同様です。
(雇用保険法10、12、61の4、国家公務員共済組合法49、68の2、地方公務員等共済組合法52、70の2)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1191_qa.htm
つまり、育児休業給付金は合計所得金額にはカウントされないので、産休・育休中の給与収入が103万円以内であれば、配偶者控除を受けることができる可能性があるのです。
どれぐらいの節税になるの?→→最低5万円です。
配偶者控除を受けることによる節税額は次の算式でざっくり計算ができます。
38万円×所得税率+33万円×10%(一般的な住民税率)
【所得税率が5%の場合】
5.2万円=38万円×5%+33万円×10%
【所得税率が10%の場合】
7.1万円=38万円×10%+33万円×10%
【所得税率が20%の場合】
9.9万円=38万円×20%+33万円×10%
所得税率は給与の金額によって変わってきますが、最も小さい税率の5%の方でも配偶者控除の適用を受けるだけで5万円も節税することが可能になります。
配偶者控除はどうしたら受けれるの?
配偶者控除の適用を受ければ5万円は節税が可能なことがお分かりになったと思います。
配偶者控除は次の1~3の方法で受けることができます。
- 年末調整
- 確定申告
- 更正の請求
1.年末調整
サラリーマンの方は毎年12月頃に、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出していると思います。
ここの控除対象配偶者の欄に配偶者の、氏名、生年月日、住所等を記載して会社に提出すれば後は会社が年末調整手続きの中で計算してくれます。
例年よりも年末調整で戻ってくる金額が多いはずです(他の条件が例年と同じ場合です、必ずしも還付が多くなるとは限りません)。
2.確定申告
確定申告をしている場合は、配偶者控除の欄に記入すれば問題ありません。
記入を忘れないようにしてください。今は覚えていても、ご自身の確定申告に夢中になって配偶者控除を記載し忘れることはあり得ますので。
給与所得者は確定申告をしていないケースが多いですが、医療費控除がある場合やふるさと納税をしている場合は確定申告が必要です。確定申告の申告期限は翌年の3月15日までですが、還付申告は還付のための申告書を提出できる日から5年間の期間内に行うことができるとされています。
確定申告書を提出する義務のない給与所得者が還付申告できる期間
Q
私は給与所得者ですが給与以外に所得はなく、また、給与についても年末調整をしているため、今まで確定申告をしたことはありません。しかし、過去に支払った医療費についても医療費控除の適用を受けることができると聞いたので、これから確定申告を行いたいと考えています。
私が平成22年に支払った医療費について、今から医療費控除の適用を受ける申告は可能ですか。A
還付申告は、還付のための申告書を提出できる日から5年間の期間内に行うことができます。この「還付のための申告書を提出することができる日」とは、その年の翌年1月1日です。
したがって、あなたの場合、平成22年分の医療費控除の適用を受ける申告は、平成23年1月1日から5年間、すなわち平成27年12月31日までの期間内であれば還付のための申告書を提出することができます。(注) 12月31日は、還付金の消滅時効が完成する日であり、延長されることはありません。
確定申告書を提出する義務のない給与所得者が、2017年12月31日までに可能な還付申告は、2012年分の確定申告となります。
2013年、2014年、2015年、2016年に産休・育休を取得した方でその年の年収が103万円以下であれば還付申告によって税金を取り戻すことが可能ということです。
3.更正の請求
更正の請求とは、すでに確定申告書を提出している人が、確定申告書の計算誤り等で税額を過大に納付した場合等に正しい税額に訂正を求める手続きのことです。
更正の請求ができる期間は、法廷申告期限から原則として5年です。なお、確定申告の必要のない方が確定申告の必要があるとした場合の法定申告期限後に還付を受けるため申告をしている場合はその提出した日から5年以内とされています。
まとめ
配偶者控除の適用を受けることで最低5万円の節税をすることが可能です。
適用を受けることを失念していた場合であっても、2017年12月31日までであれば2012年分の確定申告までは還付申告をすることができます(確定申告書を提出する義務のない給与所得者の場合)。
うっかり失念しないように、気を付けましょう。還付申告の方法がわからない方は、澤田公認会計士・税理士事務所に一度ご相談ください。
愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
中小企業のM&A、事業承継、スタートアップ支援を得意としています。
創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。
【主な業務内容】
・スタートアップ支援
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