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未払金の残高を「1円単位で説明できる」会社は強い――請求書と支払の突合のやり方

未払金の残高を「1円単位で説明できる」会社は強い――請求書と支払の突合のやり方

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

試算表を見せていただいたとき、私が真っ先に確認する科目の一つが未払金です。社長に「この未払金の300万円、中身は何ですか?」とお聞きすると、すぐに答えられる会社はそれほど多くありません。

未払金は、経理がきちんと回っているかどうかがよく表れる科目です。今回は、未払金の残高を正しく保つための考え方と、私たちが毎月やっている確認の手順をご紹介します。

未払金に残っていていいもの、いけないもの

請求書ベースで経理をしている会社では、次のような流れで未払金が動きます。

  1. 請求書を受け取ったら「費用/未払金」で計上する
  2. 支払ったら「未払金/預金」で未払金を消す

つまり、月末の未払金の残高に残っていていいのは、計上済みで、まだ支払っていないものだけです。たとえば月末締め・翌月末払いの外注費や、翌月引落しのカード利用分などですね。

逆に、次のようなものが残っていたら要注意です。

  • 何か月も前から残ったままの金額(支払の仕訳が漏れている、または二重に計上している)
  • マイナスの残高(請求書の計上が漏れていて、支払だけが入っている)
  • どの取引先のものかわからない金額

なぜ未払金がずれるのか

未払金がずれる原因で多いのは、次のようなケースです。

計上月のずれ

9月20日付の請求書なのに、入力のときに8月分として計上してしまう。すると8月に2か月分の費用が入り、9月はゼロ、という状態になります。年間の合計は変わらないので見逃されがちですが、月次の損益は大きく狂います。

振込手数料の差額

取引先との約束で、振込手数料を差し引いて振り込むことがあります。請求額が110,000円で、手数料660円を差し引いて109,340円を振り込んだとします。このとき、支払の仕訳で109,340円しか未払金を消さないと、660円が未払金に残ってしまいます。差し引いた手数料も、支払の仕訳の中で忘れずに処理する必要があります。

支払方法の混在

同じ取引先でも、振込で払う月とカードで払う月がある。あるいは家賃を口座振替で払う物件と、振込で払う物件がある。こうした違いがあると、支払の仕訳の相手科目を間違えやすくなります。

手入力とシステム連携の二重登録

請求書の管理表から会計ソフトに自動で登録する仕組みを使っている場合、手でも同じ仕訳を入れてしまうと二重計上になります。仕組みを使うなら「どの経路で登録するか」をはっきり決めておくことが大切です。

毎月の突合の手順

私たちが顧問先で毎月やっている手順は、次のとおりです。

ステップ1:3つのデータをそろえる

  • 請求書の管理表(いつ、誰に、いくら、何の費用か、どう払うか)
  • 会計ソフトの未払金の仕訳
  • 銀行・カードの支払明細

請求書の管理表はGoogleスプレッドシートで作っている会社が多いです。請求書のPDFへのリンクも一緒に貼っておくと、確認がとても楽になります。

ステップ2:支払明細を1件ずつ対応させる

銀行の支払明細を上から順に見て、「この振込は管理表のどの行か」「会計ソフトではどの仕訳で計上されているか」を1件ずつ対応させていきます。金額と振込先名で探すのが基本です。

ここでのコツは、管理表のメモを過信せず、会計ソフトの中を直接探すことです。管理表に「登録済み」とあっても、あとで仕訳が修正されていることもあるからです。

ステップ3:残高を確認して、中身を一覧にする

支払の仕訳を入れ終わったら、試算表で未払金の残高を確認します。そして、その残高の中身を一覧にします。

取引先内容金額支払予定
A社10月分 業務委託料550,000円11月末 振込
B社10月分 システム利用料33,000円11月27日 引落
C社10月分 デザイン料110,000円11月25日 振込

(金額は例です)

この一覧の合計と試算表の残高が1円まで一致すれば、その月の未払金は完了です。一致しなければ、どこかに漏れか重複があります。

ステップ4:気になる点を報告する

最後に、次の4つに分けて報告します。

  • まだ支払っていないもの(支払漏れの確認)
  • 支払ったのに計上がないもの(請求書をいただく必要があるもの)
  • 金額が合わないもの
  • 中身が不明で確認が必要なもの

入力する人とチェックする人を分ける

未払金の管理をうまく回すコツは、入力する人とチェックする人を分けることです。

ある顧問先では、請求書の内容を管理表に入力するのは社内のスタッフさん、その内容をチェックして会計ソフトに登録し、支払と突き合わせるのは私たち、という分担にしています。登録前に「この請求書の計上月は9月ですね」「勘定科目が空欄になっています」とお伝えすることで、ミスが会計ソフトに入る前に止められます。

一人で入力からチェックまでやると、どうしても自分の思い込みに気づきにくくなります。社内に経理の方がいても、チェックだけを外部に任せるというのは、とても効率のいいやり方だと思っています。

まとめ

未払金は、経理の正確さがそのまま出る科目です。残高を1円単位で説明できるということは、請求書の計上も支払もすべて把握できているということです。そういう会社は、資金繰りの見通しも立てやすく、決算もスムーズに終わります。

私は、こうした突合の作業がとても好きです。1件ずつ対応させていって、最後に残高がピタッと合ったときの気持ちよさは、何度やっても変わりません。

毎月の経理全体の流れについては、『経理代行の「月次業務」では何をしているのか?数字が1円まで合うまでの流れ』の記事で紹介しています。あわせてご覧いただければ幸いです。

「未払金の残高がずっと合っていない」「請求書の管理がうまく回っていない」「社内の経理担当者のチェック役がほしい」という方は、一度ご相談いただければ幸いです。オンラインで全国対応しています。