こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
最近、ありがたいことに「税務申告だけでなく、毎月の経理も見てもらえないか」というご相談が増えています。私自身、実はこの毎月の経理の仕事がかなり好きです。バラバラだった資料が仕訳になり、残高がピタッと合った瞬間は、何年やっても気持ちがいいものです。
ただ、「経理代行」や「記帳代行」という言葉からは、実際に何をしているのかが見えにくいと思います。そこで今回は、私たちが顧問先の月次業務として毎月どんなことをしているのかを、流れに沿ってご紹介します。
月次業務のゴールは「残高を説明できること」
最初にお伝えしたいのは、月次業務のゴールです。私は、ゴールを「仕訳を入れ終わること」ではなく、月末の残高を1円単位で中身まで説明できることだと考えています。
たとえば未払金の残高が120万円あったとします。このとき「120万円です」で終わるのではなく、「A社の今月分の外注費が55万円、B社の家賃が40万円、カードの引落し待ちが25万円」というように、内訳を言える状態にする。ここまでできて、はじめてその月の試算表が経営判断に使える数字になります。
逆に言うと、残高の中身が説明できない試算表は、どこかに計上漏れや二重計上が隠れている可能性があります。決算のときにまとめて見つかると、原因を調べるだけで何日もかかってしまいます。
1か月の流れ
ここからは、実際の流れを順番に説明します。会社によって細かい部分は違いますが、大まかにはどの会社も同じです。
① 資料を集める(毎月初め)
まずは材料集めです。主な資料は次のようなものです。
- 銀行口座の入出金明細(クラウド会計と連携している口座は自動で取り込み)
- クレジットカードの利用明細
- 受け取った請求書・領収書
- 売上の資料(レジの締めデータ、キャッシュレス決済の入金明細、請求書の控えなど)
- 借入金の返済予定表
- 給与の資料
私たちの顧問先では、資料をGoogleドライブの決まったフォルダに入れていただき、管理表にリンクをまとめています。「あの資料どこでしたっけ?」とメールで何往復もする時間をなくすためです。紙の通帳しかない口座も、写真やスキャンを入れていただければ対応できます。
② 仕訳を入れる
次に、集めた資料をもとに仕訳を入れていきます。マネーフォワードなどのクラウド会計では、連携した口座の明細に対して「この取引は何の費用か」を一件ずつ決めていきます。
ここで大事なのは、会社ごとのルールを文書にしておくことです。「この取引先への支払は外注費」「この振込は家賃で、翌月分の前払い」「この取引先は月末締め・翌月末払い」といった決まりごとを、私たちは顧問先ごとの手順書にまとめています。担当者が変わっても、同じ処理が同じようにできるようにするためです。
請求書ベースで費用を計上する会社では、請求書が届いた時点で「費用/未払金」を計上し、支払ったときに未払金を消す、という二段階の処理になります。手間は増えますが、月ごとの損益が正しくなるので、私はこちらをおすすめしています。
③ 残高を確認する
仕訳が入ったら、ここからが本番です。試算表を出して、主要な科目の残高を一つずつ確認します。
- 預金:通帳やネットバンクの月末残高と一致しているか
- 借入金:返済予定表の残高と一致しているか。複数の借入がある場合は、補助科目ごとに合っているか
- 未払金:残っているのは「計上済みでまだ払っていないもの」だけか
- 前払費用:前払いした家賃などが、あるべき金額になっているか
- 預り金:給与から預かった社会保険料などが、納付額と合っているか
実際にやってみると、ここで毎月いくつかは何かしら見つかります。よくあるのが、似た金額の借入が複数あって補助科目を取り違えているケースや、請求書の計上月がずれて同じ月に2か月分の費用が入っているケースです。どれも金額が大きくないと見過ごされがちですが、積み重なると決算で合わなくなります。
④ 報告と質問
最後に、確認した結果を社長や経理ご担当者に報告します。報告するのは主に次の4つです。
- まだ支払っていないもの(支払漏れがないかの確認)
- 支払ったのに請求書が見当たらないもの
- 金額が合わないもの
- 中身がわからず、確認が必要なもの
質問はSlackやチャットで、「〇月〇日に〇〇円の振込がありますが、何の支払でしょうか」というように、答えやすい形でお送りします。社長がお忙しいのはよくわかっているので、できるだけ一言で答えられる質問にすることを心がけています。
毎月見ていると、会社の変化に早く気づける
月次業務を続けていると、数字の変化にも早く気づけるようになります。「今月は外注費が急に増えているな」「この店舗だけ水道光熱費が高いな」といったことは、毎月同じ目線で見ているからこそわかることです。
決算のときに1年分をまとめて処理するやり方だと、こうした変化に気づくのは早くても決算後です。それでは打てる手が限られてしまいます。月次でしっかり数字を固めておくことは、資金繰りや経営の相談を早めにできるという意味でも大きなメリットがあります。
社内の経理担当者さんとの分担もできます
「全部を外に出すのは不安」「社内に経理の方がいるので、その方を活かしたい」という会社も多いです。その場合は、たとえば請求書の入力は社内の方、残高の確認と支払仕訳は私たち、というように分担することもできます。
実際に、請求書の内容をスプレッドシートに入力するところまでは社内のスタッフさんが担当し、私たちがその内容をチェックして会計ソフトに登録している顧問先もあります。入力の段階で「計上月が違います」「勘定科目が空欄です」とお伝えすることで、社内の方の経理スキルも少しずつ上がっていきます。
まとめ
経理代行の月次業務は、単に仕訳を入れる作業ではありません。資料を集め、ルールに沿って仕訳を入れ、残高を1円単位で確認し、気になる点を報告する。この流れを毎月繰り返すことで、試算表が「信頼できる数字」になっていきます。
私はこの地道な作業が好きですし、会社の数字がきれいに整っていくのを見るのは、税理士としても一番やりがいを感じる部分です。
「毎月の経理が追いついていない」「試算表の数字が合っているのか自信がない」「経理担当者が辞めてしまって困っている」という方は、一度ご相談いただければ幸いです。名古屋近郊はもちろん、オンラインで全国対応しています。
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