こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
年末調整の時期になってきました。
年末調整といえば結婚している方が気になるのは配偶者控除の話。
配偶者控除について勘違いをされている方が散見されますので注意喚起です。
配偶者控除とは?
まずは、話題の中心となっている配偶者控除の解説です。
配偶者控除とは、控除対象配偶者(多くの場合は妻かご主人のいずれか)がいる場合は、一定額の所得控除を受けることができる制度です。
一定額所得控除とはいくらなの?というと、控除を受ける納税者さんの合計所得金額により変わってきます。
以下の表をご参照ください。一般の方の場合は最大で38万円です。
控除を受ける納税者本人の 合計所得金額 | 控除額 | |
---|---|---|
一般の控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者(※) | |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
控除対象配偶者となる人はどんな人?
どのような人が、控除対象配偶者となれるのでしょうか。
答えは、以下の4つの要件の全てに当てはまる人です。
- 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
- 納税者と生計を一にしていること。
- 年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1191.htm
今回注目してほしいのは、3の「年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)」という箇所です。
よく読む、都合よい解釈はNG:年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)と記載がある通り、配偶者控除の適用を受けるための要件です。
上に記載の通り、年間の合計所得金額が38万円以下であること、が要件ですが、カッコ書きの、(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)という部分が独り歩きしてしている印象です。どのような勤務形態でも103万円まではOKという風潮のことです。
収入が103万円以下であれば配偶者控除の適用を受けることができるためアルバイト代は年間103万円以内にしたい、という要望はこれが起源となっています。
アルバイトやパートタイマーさんは個人事業主ではないので、この103万円以内というマジックワードを真に受けていただいて全く問題ありません。
103万円の根拠(給与所得のみの場合)
この給与のみの場合は給与収入が103万円の103万円は、以下の算式から計算されています。
基礎控除(38万円)+給与所得控除(65万円)=103万円
これです。
個人事業主は給与所得のみではない
まず、大前提として個人事業主は給与所得のみの人には該当しません。
個人事業主(給与所得なし)の場合は、以下の金額が38万円以下であれば、合計所得金額が38万円になります。
合計所得金額=総収入金額-必要経費
以上です。
よく見てみてください、既にお気づきだとは思いますが、給与所得控除の65万円がでてきません…。給与所得を受け取っていないので当然です。
ほとんど原価がかからない、スポーツインストラクターを例に計算してみます。
・総収入金額:100万円
・必要経費:20万円
合計所得金額80万円=総収入金額100万円ー必要経費20万円
合計所得金額80万円>>>38万円
となってしまい、配偶者控除の要件の1つである「年間の合計所得金額が38万円以下であること」を充足することができなくなってしまいました。
配偶者控除の4つの要件を満たせないとどうなる?
配偶者控除を受けることができなくなります。
つまり、納税者さんの方での税負担が増えることになります…
配偶者特別控除が受けられるかもしれない
とはいえ、まだ諦めてはいけません。
配偶者特別控除が受けられるかもしれません。
配偶者特別控除は、合計所得金額(ざっくり、売上-経費です)の金額によって変わってきます。
(平成30年分・令和元年分)
控除を受ける納税者本人の合計所得金額 | ||||
---|---|---|---|---|
900万円以下 | 900万円超 950万円以下 | 950万円超 1,000万円以下 | ||
配 偶 者 の 合 計 所 得 金 額 | 38万円超 85万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
85万円超 90万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 | |
90万円超 95万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 | |
95万円超 100万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 | |
100万円超 105万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 | |
105万円超 110万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 | |
110万円超 115万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 | |
115万円超 120万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 | |
120万円超 123万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
(国税庁HPより引用)
まとめ
勘違いが多い、配偶者控除の要件の1つである103万円について記載してみました。
年末調整の配偶者欄にも所得見込額を記載する箇所があるので、個人事業主の方は計算してみてください。
ちなみに、健康保険の扶養は要件が異なるので注意が必要です!
個人事業主の方は確定申告を必ず行いましょう!
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