【中小企業M&A】未払残業代が論点になりすぎている。脱ブラック!脱ブラックフリーランス!

こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。

中小企業のM&Aのプロセスの中に、デューデリジェンスというものがあります。DD略して使うことが多いので、以下はDDとします。

このDDには、財務・税務・法務・労務・ビジネスとあらゆる領域のものがあります。

一般的に中小企業DDで多いのは財務DDです。私もDDといえば財務DDばかりです。税務DDは中小企業だとあまり実施されません…合併や分割等の組織再編が絡むと、税務が大活躍するんですけどね。

財務DDを実施すると、経営者へのヒアリングする事項がいくつかあります。

その1つに「未払残業代の有無」があります。

未払残業代、本当に多いんです。そんな未払残業代関連についてのお話です。

未払残業代をヒアリングする理由

財務DDで未払残業代をヒアリングするには理由があります。

未払残業代は法律で2年間(通常)は会社に支払い義務があります。そのため、未払残業代がある場合、M&Aの買収対価から当該未払残業代をマイナスするのかを検討する必要があるのです。

未払残業代の有無を確認しないと、、、

・M&Aで企業を買収した。財務DDなし(DDしない買い手企業さんもあります。DDを抄訳することはオススメしませんが…)。

・未払残業代の有無を確認していなかったため、労基署に2年間分の未払残業代を支払うことを要求された。

・従業員へ過去2年分の未払残業代を支払った。

・財務が悪化…

未払残業代という簿外負債の存在を予め知っていれば、こんな企業買収しなかったのに…という結末が待っています。

未払残業代は簿外負債(BS)であり、簿外損(PL)である

未払残業代がある場合、簿外負債になることはご理解いただけたでしょうか。

将来的に支払う可能性があるかもしれない負債という位置づけです。支払うかもしれないというのは労基署が入ったり、元従業員が未払残業代を要求してきた場合に支払うが必要になり、そうでなければ今までのように未払の状態が続いてしまうからです。

簿外負債であるということは、当然、損益計算書上には残業代が計上されていないことになります。

これが意味することとしては、企業の正常収益力が過大に評価されている状態、を意味します。残業代の分だけ利益が沢山出ているように見えるということですね。

とすると、会社の本来的な価値を計測することは難しくなります。損益計算書も違えば貸借対照表に簿外負債が存在するなんて、実態が把握できませんよね。

ちなみに、当該リスクをきちんと把握する作業がDDです。DD費用をケチケチして、DDを省略すると想定していなかったリスクが突然顕在化し、途方に暮れることになるので注意が必要です。財務も税法もですが、予防が非常に重要なのです。

未払残業代問題

未払残業代が発生している、つまり従業員が不当に安く使われている状態を良しとしている企業って、そもそもどうなのでしょうか。

残業代も支払われないような企業、経営者の下で、イキイキと働けるとは思えません(少なくとも私は)。

経営者の立場からすれば、残業代を支払わないことで会社の利益が増えます。そして、自分の役員報酬を増額することができるかもしれません。

果たしてそれでよいのでしょうか。

支払うべきものは支払う、法令を遵守するマインドを持つ経営者の方が、絶対に輝いて見えます(比べるまでもないですが)。

従業員の立場からすると、残業代を支払ってもらえない企業からは、一刻も早く離れるべきです。たまに、ブラック企業から抜け出せずに苦しんでいるという記事をネットで見ますが、他に良い職場はいくらでもあります。

どうしても見つからないのであれば、自分で起業しましょう。雇われの立場から、経営者にポジションチェンジできます。

【未払残業代=安請負】ブラックフリーランスにならないために。

中小企業のM&AでDDをしていると、未払残業代が論点になるケースが非常に多いことは前述したとおりです。

企業に勤めていると「残業」という概念がありますが、フリーランスには「残業」という概念がありません。

時間があればあるだけ、仕事ができます。当然、その分報酬も増えます。

仕事をしなければ、得られる報酬が減る。単純にこのような構造です。

個人的にはフリーランスにとっての未払残業代的存在は、仕事の安請負だと思っています。

フリーランスが、業務量に対して安い報酬で仕事を請負うと、作業時間が必然的に長くなります。適正な報酬を受け取っていれば、一定程度の時間をかけても問題ないと考えられますが安請負すると、残業状態になってしまいます。

とはいえ、かかった時間分をお客さんに対して請求できるわけではないので、未払残業代的なものが生じます…

ブラックフリーランスにならないようにするための心構えを考えてみました。

■断る勇気

■対等な立場を保つ

■無理して仕事を取らない

■強くなる!=自分自身に強みを持つ

■断る勇気:違和感を感じたら断ろう

仕事を一度断ると二度と依頼されないのでは?という恐怖感がフリーでやっているとないわけではありません。

ただ、多くの先輩方がおっしゃっている通り、仕事は断ると自然と次の仕事が舞い込んできます(ありがたいことに)。

確かに、目先の仕事を取ればそれだけ報酬が増えますが、本当にやりたいことなのか?一緒に仕事をしたい人なのか?という点をよくよく吟味して、自分の枠組みに合わないのであれば断りましょう。

■対等な立場を保つ:お金を支払う人が偉いわけではない

仕事を振る人が偉い!お金を払う側が偉い!と勘違いしている人がたまにいます。

個人的にはそれは違うと思っていて、仕事を依頼する側は、それについて詳しくない・マンパワーが割けないから、依頼しているわけです。偉い偉くないという問題ではないはずです(例えば、月1万円の顧問料で10時間分も質問されたらこちらは完全に赤字な訳です)。

飲食店で偉そうに店員さんに話しかけている方がいますが、そんな感じです。ファストフードで店員のサービスが悪いとか言っている方がいますが、ファストフードですし。

■無理して仕事を取らない

対等な立場を保つと、似ていますが、無理して仕事を取るから、対等な立場を保つことができなくなるのです。

自分の生活基盤を脅かさない程度の収入を稼げるようになったら、仕事を吟味するべきでしょう。

無理して仕事をたくさんとると、長時間労働につながり、ブラックフリーランスと化してしまいます。

■強くなる!=自分自身に強みを持つ

自分に強みがあれば、その分野について、少しぐらい報酬が高くても依頼されます。

何が言いたいかというと、強みや特徴のないコモディティ商品を販売するから値段交渉されるのです。

私は中小企業M&Aや事業承継対策が好きでメイン業務にしています。

中小企業M&Aに100社以上に関与してきた公認会計士・税理士はあまり多くありません。愛知県・名古屋市を中心とする東海地方ではほとんどいないのではないでしょうか。

そのため、私の強みの1つは、中小企業M&Aと事業承継対策です。多くの実績と経験があるため、他の事務所と比べられることはほとんどありません。

さらに、公認会計士・税理士という枠組みで言えば、ホームページで情報発信をしている事務所は多くありません。特に、愛知県名古屋市という枠内で言えば極僅かです。

そのホームページを通して、情報発信を通し、自分の強みを知ってもらい、自分の強みを理解してくれる方と仕事をする。これって、お互いにwin-winで最高だと思いませんか?

まとめ

未払残業代の話があまりにも沢山論点になるので、まとめてみました。

残業という概念がないフリーランスの方々にとって残業代に相当するものが仕事の安請負なのではないでしょうか。

自分自身の仕事に対する姿勢を明確化し、残業代や仕事を安請負しないようにしていきたいですね。

この世の中から下請けいじめや、安請負い、未払残業代、ブラック企業という言葉がなくなることを祈っています(フェアじゃないのが一番許せないのです)。

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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。
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【主な業務内容】
スタートアップ支援
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M&Aサービス
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はじめまして。愛知県名古屋市池下の公認会計士・税理士澤田憲幸です。

起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。

会社設立直後で税金・会計・財務まで手が回らない経営者の方、今の顧問税理士にご不満のある方、事業承継対策に悩んでいる方、M&Aの話を金融機関等から提案されたが得な話か損する話か判断ができない方は一度ご相談ください。

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