こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
先日、日本政策金融公庫さんが主宰された、事業承継税制説明会に参加してきました。
想像以上に多くの方が参加されており、事業承継が喫緊の課題であることを改めて実感しました。
今回参加されていた方は、中小企業のオーナー、金融機関の方、税理士が多かったようです。
事業承継
今回は2部制でした。
【第1部:事業承継税制の説明】
■名古屋国税局 課税第1部 資産課税課 平松崇氏
【第2部:施策紹介】
■税理士会の事業承継支援の施策・取組み
名古屋税理士会 中小企業支援対策部 今枝清氏
■事業引継ぎ支援センターの施策・取組み
愛知県事業引継ぎ支援センター 統括責任者 今西昭一氏
第1部:事業承継税制
第一部は事業承継税制についての概略を国税局の平松様からわかりやすく解説していただきました。
事業承継税制は、法律・通達上はしっかりと規定がされているものの、実務レベルではまだ未経験の部分が多いです。
条文上はこうあるべきだけど、そうすると実務的、納税者的には損をする…といったような。まだ事業承継税制の特例措置は2018年1月1日から適用されたばかりなので、不明瞭な点がでてくることも踏まえて、当該制度を利用するかの判断をしなければいけないな、と改めて感じました。
特例措置では全株式が事業承継税制の対象となりますが、当該制度の適用を引き続き受けるためには「継続届出書」の提出が必要であったり、実務上の手間がかかります。当然、税理士事務所に対する報酬も別途発生することになるので、その点を勘案して事業承継税制の適用の可否を判断すべきです。
第2部-1:税理士会の取り組み
税理士会からは、担い手探しナビの紹介でした。
税理士が主体となって行うマッチングサイトということで、民間のアドバイザリー会社が提供しているマッチングサイトとは毛色が異なりますといった趣旨のお話でした。
税理士会が運営しているのでサイト利用料も無料です。
問題点としては、担い手探しナビに登録している税理士の数がまだまだ少ない点だそうです。全国の税理士が利用すれば、広範囲でのマッチングが可能になります。アドバイザリー会社に高額な手数料を支払うことなく、第三者承継(M&A)が実行できるようになれば、日本の中小企業の抱える経営者の高齢化と事業承継問題を一気に解決できるようになると思われるので、数多くの税理士が登録するようにPRをしていっていただきたいものです。
第2部-2:引継ぎ支援センターの取り組み
引継ぎ支援センターからは、事業承継全般について非常にわかりやすく説明がありました。
事業承継の全体像
事業承継は、後継者がいるのか?いないのか?
いるのであれば、親族?従業員?その他?
いないのであれば、M&Aの可能性はあるのか?
M&Aが可能であればM&A、可能性がないのであれば、会社のブラッシュアップ、その他の支援、廃業
全体像はこれだけであると。事業承継と言われると、なんだか複雑そうな印象がありますが、決めるべきことは事実に即して判断できる要素が多分にあるのです。
一番最初の質問は、「後継者がいるのか?いないのか?」です。
後継者不在だなと思ったのであれば、後継者はいません。
これは今は後継者がいないけど、そのうち出てくる、といった類ではないのです。後継者がいないのであれば後継者はいません。この点をはっきりと仰っていたのには共感が持てました。
じっと待っていては後継者はでてきません。
後継者不在であれば、M&Aを検討する等して自ら後継者候補を探しに行く必要があるのです。
事業承継の決断が遅れる主な理由
中小企業のオーナーが事業承継の決断をできない理由として挙げる事項が紹介されていました
本当に、事業承継においては、あるあるの理由ばかり。
・今のところ、健康に支障ない
・やめても、年金をもらうまで何年もある
・やめた後のライフプランができていない
・足元の業績が上向いてきた
・ダメなら、廃業すればよい
・決断すれば、すぐに相手が見つかるだろう
・いざとなれば、親族か従業員が継いでくれる
これらの理由はすべて実現可能性が低いです。
事業承継を検討している方は、高齢の方がほとんどです。いつ病気になるかわかりません。
廃業したら従業員の雇用はどうなるのでしょうか。
すぐに相手はみつかりません。
いざとなれば、継いでくれるのであれば、もう継いでくれています等。
本人が思い込んでいるほど、実際の事業承継は簡単に進みません。
引継ぎ支援センターの支援業務
引継ぎ支援センターは、公的機関として事業承継全般について支援をしています。
■親族内承継
-株式評価の概算
-株式譲渡の計画
-株式取得資金の調達方法、相続資産の配分方法
-事業承継計画表の策定
■従業員承継
-従業員承継特有の留意点の説明・アドバイス
-事業承継計画表の策定
■M&A
-M&Aのフローの説明・アドバイス
-仲介会社への取次
-企業評価の算出
正直、顧問の税理士事務所が対応すべき事項だなと感じてしまいました。
事業承継まで対応するのか、しないのかという点は税理士と顧問先の関係性にもよるところが大きいと思います。
私の個人的な考えとしては、事業承継の相談までしてくれる信頼関係の下でお仕事をさせていただけると大変ありがたいな、と。
まとめ
今回は中小企業のオーナーから税理士事務所まで幅広い方が対象の説明会でしたので、内容自体は基本的なものでしたが、事業承継の関心が強まっているんだなと改めて実感しました。
税理士事務所では対応できないM&Aについては、民間のアドバイザリー会社に依頼するのは良いと思いますが、親族内承継や従業員承継についてのアドバイスは積極的に税理士事務所主導で行っていきたいものです。
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起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。
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