こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
今まで、マンションの販売業者がマンション(賃借人がいる場合も)を仕入れた場合には、「課税売上にのみに要する課税仕入れ」として、全額が仕入れ税額控除の対応とされてきました。
ところが、この全額が仕入れ税額控除の対象とすることが実務上一般的であったにも関わらず、ムゲンエステート社が本取引について仕入税額控除の処理を否認を受けました。
マンション販売業者がマンションを仕入れた場合の消費税の取扱いに注目が集まっています。
TAマスター(No764)に本件が紹介されていました。
建物の仕入れ日に【賃借人】がいるかが重要
課税当局は、「建物を仕入れた日に賃借人がいるマンションを仕入れた」、という事実を根拠として「課税売上にのみ要する課税仕入れ」ではなく、「共通対応」であるとして消費税の仕入税額控除の一部を否認してるようです。
ポイントは、「賃借人がいるマンション」です。
建物の仕入れの日に、賃借人がいるということは、建物を購入した瞬間に賃料収入という非課税売上が発生することになります。
これを根拠として、共通対応になるのだということです。
逆に言えば、「建物の仕入日において当該建物が貸付けに供されていなければ」、その建物がすぐに売却できない等の理由により、賃貸されていたとしても、「最終的に売却される」のであれば全額仕入税額控除を認めてもらえるということのようです。
仕入れた瞬間に、賃料収入が発生していなく、将来的に売却する予定であれば、「課税売上にのみ要する課税仕入れ」としてOKということですね。
ムゲンエステート社が否認された根拠
仕入税額控除が否認された理由は以下の理由によるようです。
1.建物の仕入れ日において当該建物が住宅の貸し付けに供されていたこと(すなわち、元々賃借権の付いている物件を購入したこと)
2.建物が賃借権の負担付で売買されていること(すなわち、売主から買主が賃貸人の地位を承継する内容の契約(賃借権負担付売買契約)となっていたこと)
3.売買に伴い、ムゲンエステート社が賃貸人としての権利義務を承継し、現に賃料を収受したこと
特に1.において「建物の仕入日において当該建物が住宅の貸付けに供されていたこと」が重要視されているようです。
前述した通り、仕入日において賃貸に出しているマンションは、仕入税額控除の適用上は「共通対応」とされてしまうので注意が必要だということです。
まとめ
マンション販売業者における消費税の仕入税額控除の区分が問題になりました。今までの実務上は問題なかったのに、突然解釈が変更になると困りますよね…
今後はマンション販売業者の賃借人付建物を購入する場合は注意が必要です。
消費税が10%に増税されると、消費税の負担も大きくなります。不動産等の単価の大きなものを購入する際は注意が必要です。
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