こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
国税庁から”仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合”に関する取り扱いが公表されました。
題名はぼかしてありますが、皆様がご存じのとおり、コインチェックが盗難されたNEMについての税務上の取扱いです。
盗難されても、日本円による補償があれば課税の対象
盗難された仮想通貨が日本円で補償されているのであれば、補償金と同額で仮想通貨を売却したことと同一の結果になるため、課税の対象。と国税庁は公表しています。
取得価額<補償金となる、「補償金 ‐ 取得価額」の利益部分が雑所得として課税です。
2018年中の仮想通貨による所得が他にないサラリーマンで、利益相当額が20万円超の方は確定申告をする必要があります。
損害賠償金には該当しないのか?
損害賠償金として支払われる金銭のうち、一定のもの(心身又は資産に加えられた損害につき支払いを受ける相当の見舞金)等は非課税とされています。
ただ、損害賠償金という名目であっても、その中身が「本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合にこれが賠償されるとき」は、非課税にならないものとされています。
盗難された仮想通貨を日本円で補償した場合、日本円が戻ってきているので「本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合にこれが賠償されるとき」に該当すると考え、非課税には該当しないというのが国税庁の回答のようです。
仮想通貨が盗難され、その通貨が自分の手元に戻ってくるのか不安な日々を過ごした!当然、損害賠償金は非課税だ!!という考え方も理解できなくはありませんが、日本円が戻ってきたという事実に着目するのであれば仮想通貨を日本円に換金したと考えるのが妥当な線だと考えられます。
雑所得内の損益は可能
盗難された仮想通貨は日本円で補償されることになりました。しかし、その後仮想通貨市場は右肩下がりです。
そのため、盗難された仮想通貨以外の仮想通貨で売却損(もしくは含み損)が生じているかたも多いのではないでしょうか。
仮想通貨の売却損益であれば、2018年中に生じたものであれば通算することが可能です。日本円で補償された!税金を払う必要が!というわけではないので留意してください。
日本円で補償した理由を考えてみる
さて、コインチェックはなぜ日本円で補償したのでしょうか。盗まれた仮想通貨を市場から買い戻して顧客に返還してもよかったのではないでしょうか。
【通常あるべき】
一般的なあるべき姿としては、仮想通貨交換業者が仮想通貨を盗まれたのであれば、仮想通貨交換業者が仮想通貨を市場から購入するなりして顧客に返還すべきです。
【今回のケース】
今回は仮想通貨交換業者が仮想通貨を盗まれました。盗まれた仮想通貨を工面するのは難しい!そうだ、盗まれた時とほぼ同等の額を日本円で補償しよう!といった流れです。
コインチェックの判断
私はコインチェックと全く関りがないため、真実はわかりませんが勝手に推測してみます。
単純に市場で盗まれた仮想通貨を買い戻すのは大変!市場に与える影響も大きいはず!
という判断が一番の理由ではないでしょうか。
盗難された分の仮想通貨を市場から購入すると、非常に大きな買いが入ることになり、仮想通貨の価額が上がってしまう。それであれば盗まれた時の日本円で補償したほうが安上がりなのではないかという判断を下したのだと。
コインチェックが盗難にあった仮想通貨を盗難にあった数量だけ市場から買い集めますといった時点で、その仮想通貨の価額が上昇することは明らかです。市場が混乱することは明らかな訳でこの事態を避けるために日本円での補償をしようと決断したのではないでしょうか。
仮想通貨にはインサイダー規制が整備されていないので、盗難分を買い戻すという判断を下した場合、コインチェック内部の方のインサイダーもやりたい放題ですし。
まとめ
盗難にあった仮想通貨の補償として日本円を受取った場合の課税関係についてでした。
自分の貯金が盗まれた(結果として戻ってきたけど)と考えると、損害賠償金だ!と言いたくなる気持ちは非常によくわかります。。。
不安感は半端ないですよね。なぜか盗難にあっていない仮想通貨も移動できないという謎の措置でしたし。
マネックスさんの傘下に入ることになったので、これからは顧客目線の素晴らしい会社になることを期待しています。
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