こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
中小企業にM&Aが浸透してきましたが、実際にM&Aで会社を売却した経験がある方は多くありません。
少しでも中小企業M&Aのことを身近に感じていただけるように、今回は相談から決済までの一般的な流れを紹介いたします。
Step1の専門家への相談から、Step7の決済までは、平均して1年弱です。
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中小企業M&Aのステップ(売手)
売手(現経営者)の立場からの中小企業M&Aのステップをご紹介します。
◆Step1:専門家への相談
売手(現経営者)は専門家へ相談することをお勧めします。
というのも、M&A実務に携わったことがある経営者の方は多くないはずで、自分が会社を売却する当事者となるのは初めてのケースが圧倒的に多いためです。
専門家へ相談することで、M&Aに関する疑問点が解消でき、不安が少しでも解消されるはずです。専門家にも様々な専門家がいますが、M&A専門や公認会計士・税理士に相談することをお勧めいたします。
◆Step2:売却価額の試算
M&A仲介会社に相談する前に、自社のM&A株価を独自に算定することをお勧めします。
自社の株価を予め把握しておくことで、仲介者の言い値で売却しなくてもよくなります。顧問の会計士・税理士に自社をM&Aで売却した場合の売却価額を試算してもらいましょう。
顧問の会計士・税理士が相続税法上の株価のみの算定しかできないケースも多いです(M&A実務に精通している会計士・税理士は多くありません)。
澤田公認会計士・税理士事務所でも、M&A株価の算定サービスを提供しています。
◆Step3:Pre M&Aとして会社のバリューをあげる
Step2で自社の売却価額を顧問税理士等に試算してもらったら、それをもとに、より高く会社を売却できる方法を検討しましょう(できるだけ高く売れる方がいいですよね)。
・会社の財務内容を改善
・不要資産の処分、事業売却
・遊休不動産の売却
・会社分割等
澤田公認会計士・税理士事務所では中小企業M&Aに関する各種ご相談を承っております。
◆Step3:必要であれば仲介会社等と契約(秘密保持契約書の締結)
自社で買手候補を見つけることができないと考えられる場合は、仲介会社等と秘密保持契約を締結します。
仲介会社の社員もノルマがあります。良い会社ほど、早く売却することを勧めてきます(社員の立場からすると、すぐに売れてノルマが達成できるため)。
誰に頼むべきなのか、依頼する仲介会社等とその担当者をしっかりと見極めることが、今後の買手候補との条件の交渉等に影響してきます。
仲介会社等と契約すると、自社の情報を仲介会社等が理解するために多くの資料の提出を要求されます。資料の提出は面倒くさいと思いますが、きちんと対応してあげてください。
資料がないと、貴社のことを正確に理解できず、買手候補への提案もし辛くなってしまいます(買手候補に質問されても、回答ができないため)。
◆Step4:買手候補と価額等の条件について交渉(仲介者がいる場合は仲介者が交渉を行います)
買手候補と条件についての交渉です。
事前に売手さんの希望を買手候補さんには伝えてあるケースが多いです。一般的には以下の内容について交渉します。
・譲渡価額、退職金
・譲渡スキーム
・引継ぎ期間
・キーマン開示の時期
・その他の譲渡条件
◆Step4:意向表明書の提出 or 基本合意書締結
価格等の条件交渉の内容を意向表明書または基本合意書に織り込みます。
この段階で、検討すべき課題が解決してあると、最終条件の交渉でもめることも少ないです
事前に資料を買手候補企業や仲介会社等に提出し、今後論点になるであろう点を予め把握しておくことが重要です。Step3で資料の提出にはきちんと対応してくださいと記載したのはこのためです。
◆Step5:財務・税務・法務・労務デューデリジェンスの実施(全て実施するとは限りません、買手候補によって変わります)
一般的に、中小企業M&Aでは財務のみを行うケースが多いです。売手企業へ1日か2日(従業員がお休みの土曜、日曜が多いです)、公認会計士や税理士が訪問し、帳簿や議事録等を確認し、売手企業の財務内容を精査します。
ここで粉飾や脱税が発見された場合、次のステップである最終条件の交渉へ進めない可能性が高いです。コンプライアンスを遵守できない企業を買収しようと考える買い手企業は多くありません。
粉飾や脱税がある場合には、意向表明書を提出してもらう前段階には仲介会社等に伝えておく、もしくは正直に粉飾していますと回答しましょう。
デューデリジェンスで論点になりやすいのは、
・未払残業代
・土壌汚染
・社会保険への未加入
・退職金積立不足等が頻繁に論点になります。
◆Step6:最終条件の交渉
デューデリジェンスの結果を踏まえて最終契約書の条件を交渉します。
デューデリジェンスで粉飾、脱税、社会保険の未加入等が論点として挙げられた場合は、減額交渉が生じます。
最終条件では、契約日、決済日、引継ぎ期間、キーマン開示等について決定します。いよいよM&Aの実現が近づいてきました。
◆Step7:最終契約書の締結・決済
Step6において最終条件が固まり次第、最終契約書の締結・決済です。
これで中小企業M&Aが完了です。
その後
売主さんは、一定期間の引継ぎ後、経営から離れることになります。今までできなかった、家族旅行や趣味に時間を使っていただければと思います。
買手さんは、譲り受けた会社の統合作業が始まります。会社は買収して終わりではなく、買収してからが始まりです。
中小企業のM&Aも専門家への依頼から決済まで1年弱の期間がかかります。すぐに売れる会社もありますが、1年程度は時間がかかってしまうのです。
事業承継は余裕のあるスケジュールで進めることを本当にお勧めします。相手が見つからない、不測の事態が発生する等のことは事業経営と同様に中小企業M&Aでも発生するのです。
愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
中小企業のM&A、事業承継、スタートアップ支援を得意としています。
創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。
【主な業務内容】
・スタートアップ支援
・事業承継対策
・M&Aサービス
・税務顧問業務
・スポット対応
・個別コンサルティング業務
◇メール、チャットワーク対応がメインの顧問契約「コスト重視プラン」始めました。
このような方がコスト重視プランの対象です
・毎日忙しく、税理士と面談する時間がない
・直接会って面談するよりも、メールやチャットで気軽に質問できるほうが望ましい
・別に税理士には会わなくていいので安くしてほしい
といった要望にお応えし、コスト重視プランを始めました。
公認会計士・税理士澤田憲幸に問い合わせしてみる
起業支援、事業承継対策、中小企業のM&Aや組織再編を得意としています。
会社設立直後で税金・会計・財務まで手が回らない経営者の方、今の顧問税理士にご不満のある方、事業承継対策に悩んでいる方、M&Aの話を金融機関等から提案されたが得な話か損する話か判断ができない方は一度ご相談ください。
税務・財務の知識の有無で経営判断は大きく変わってきます。
澤田公認会計士・税理士事務所が貴社のブレインとなって全面的にサポートさせていただきます。