こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
新規に起業したお客様から、このような質問をいただくことがあります。
「ホームページがやっとできました、結構高かったんですけどカッコいいので満足です。
念のための質問ですが、ホームページの作成費用なので全額経費で問題ないですよね?」
最近起業する方でホームページを持っていない人はいないぐらい、皆さんホームページ作りに力を入れています。
ご自身でホームページを作成すれば、コストは数万円で済みますが、専門業者に依頼すると10万円~100万円以上といったお値段になってしまうこともあります。
で、経費になるの?
答:金額によります。
10万円未満の場合
10万円未満であれば全額一時の損金として計上することができます。この場合であれば広告宣伝費等の勘定科目で処理しても問題ないでしょう。
10万円以上20万円未満の場合
一括償却資産として3年で償却。または5年間で償却。
20万円以上
5年間で償却
ただし、中小企業の場合は少額減価償却資産の特例として30万円までであれば一括して費用計上が認められています。
そのため基本的には30万円を超えなければ全額、設立事業年度(ホームページのできた年度)の経費になるということです。
*5年間で償却または3年で償却という意味は、ホームページ作成に90万円かかった場合、90万円を5年または3年で分割して経費にしていくことを言います。
30万円の判定に含まれるもの、含まれないもの
ホームページの作成費用が30万円を超えるか否かが一括経費としてできるかの判定上大切です。
さて、この30万円には単にホームページの作成費用として請求さえれた金額だけでいいのでしょうか。
ホームページは、ソフトウェアという無形固定資産に分類されます。国税庁のHPにソフトウェアの取得価額について掲載されています。
取得価額
(1) 取得の形態による取得価額の計算方法
イ 購入した場合
購入の代価+購入に要した費用+事業の用に供するために直接要した費用
この場合、そのソフトウエアの導入に当たって必要とされる設定作業及び自社の仕様に合わせるために行う付随的な修正作業等の費用の額は、取得価額に算入します。
ロ 自社で製作した場合
製作等に要した原材料費、労務費及び経費の額+事業の用に供するために直接要した費用
(2) 取得価額に算入しないことができる費用
次のような費用は、取得価額に算入しないことができます。
イ 製作計画の変更等により、いわゆる仕損じがあったため不要となったことが明らかであるものに係る費用
ロ 研究開発費(自社利用のソフトウエアについては、その利用により将来の収益獲得又は費用削減にならないことが明らかであるものに限ります。)
ハ 製作等のために要した間接費、付随費用等で、その合計額が少額(その製作原価のおおむね3%以内の金額)であるものhttps://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5461.htm
こちらによると、購入に要した費用まで取得価額に含められると記載されています。つまり、ホームページの打ち合わせの会食で依頼者がお金を支払った場合等は取得価額に含めるべきなのです(そんな場合はあるのか不思議ですが。。)。ただし、少額なものは集計等の手間を考えて、取得価額に含めなくてもいいよとされています。
ちなみに、昔話
昔は国税庁のホームページにも、頻繁に更新するもので高機能なものでなければ、広告宣伝費等として一時の損金(経費)として計上することができると掲載されていました。しかし、今はこのページは削除されてしまっています。。
引用:国税庁ホームページ ホームページの制作費用の税務処理ついて
Q1
インターネット上に広告宣伝用のホームページを開設しました。その制作のために業者に委託した費用は、広告宣伝費等として一時の損金にするのでしょうか。それとも、繰延資産として償却するのでしょうか。
A1
通常、ホームページは企業や新製品のPRのために制作されるものであり、その内容は頻繁に更新されるため、開設の際の制作費用の支出の効果が1年以上には及ばないと考えられますので、ホームページの制作費用は、原則として、その支出時の損金として取り扱うのが相当であると考えられます。
ただし、ホームページの内容が更新されないまま使用期間が1年を超える場合には、その制作費用はその使用期間に応じて償却します。
また、制作費用の中にプログラムの作成費用(ソフトウェアの開発費用)が含まれるようなホームページについては、その制作費用のうちプログラムの作成費用に相当する金額は無形減価償却資産(ソフトウェア)として耐用年数「5年」を適用して償却することとなります。(法令13、耐令別表第三)
出典:国税庁ホームページ 平成24年4月 「No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数」
このように以前は、更新をして、プログラムが組み込まれていないようなホームページであれば一括費用計上できると国税庁も考えていたようです。しかし、最近のホームページの高機能化に伴い、単なる広告宣伝以上の機能をホームページは有していると国税庁の方々がお考えになったのか当該ホームページは気が付いたら削除されていました。そのため、昔の常識のまま全額広告宣伝費として費用計上するのは税務リスクがあることになります。
まとめ
ホームページの作成費用は感覚的に一時の費用に計上できそうな気がします。しかし、税務の世界はそうでもないようです。
税務の世界は一般的な感覚とは少し違った世界観を持っているので、感覚的に一括で経費にしていると税務調査の時に痛い目をみる可能性があります。
少しでも、あれ?大丈夫かなと思った場合には専門家に相談することをお勧めします。
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