配当還元方式は特例的評価方式と言われています。
というのも、配当還元方式が用いられるのは、少数株主が株式を取得した場合に限られるからです。
評価方法
配当還元価額=(その株式にかかる年間配当金額/10%)×(株式1株あたりの資本金等の額/50円)
- 年間配当金額は直前期末以前2年間の平均です。
- 年間配当金額には特別配当等の臨時的な配当金は含めません。
- 配当をしていない企業の場合、年間配当金額はゼロにはなりません。この場合は年間配当金額を2円50銭として計算します。
- 資本金等の額は税務上の資本金等の額であるため留意費が必要です。
例外
非同族株主等の少数株主に適用される、配当還元方式が利用できないケースがあるため注意が必要です。
- 開業前の会社
- 休業中の会社
- 清算中の会社
これらの会社に配当還元方式が使えないのは、配当が期待できない会社の株式を配当に着目した方法で評価するのはナンセンスなためだと思われます。
利用される場面
株式の分散化による相続対策を検討する場面で配当還元方式の検討場面がでてきます。
- 会社代表者兼大株主が相続対策のために、従業員へ株式を譲渡する場合…①
- 大株主が遠戚へ株式を譲渡し、相続対策をする場合(遠戚ではあるが、第三者ではないので大株主も株式を譲渡することに抵抗感が少ない)
- ①で従業員が株式を取得した後に、一般社団法人へ株式を譲渡する場合(一般社団法人の理事が代表者の親族である場合は租税回避行為として配当還元方式を時価とすることを否認されるリスクはあります)
まとめ
配当還元方式は特殊な評価方法です。一般的な評価方法である類似業種比準方式や純資産方式とは、算式の思想が異なります。
上手に利用することで、相続税の評価を下げることができますが、それには少数株主の株主区分を正確に把握することが必要です。
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