こんにちは。名古屋池下の公認会計士・税理士の澤田です。
1月6日から7日にかけて仮想通貨が軒並み暴落しています。
昨年(2017年)、仮想通貨の売却益が多額に出たため、2018年の確定申告で納税納税予定の方々は、納税資金を準備してありますか?
このまま仮想通貨が暴落し続け、納税資金がない場合はどうしたらよいのでしょうか。
猶予をしてもらう
税金を納付していないと、税務署から督促状が届きます。督促状が届いても納税されない場合には、財産の換価(売却)や、財産を差し押さえられてしまいます。
納期限までに、税金を支払うことができない場合はどのような理由であれ財産が差し押さえられてしまうわけではなく、一定の要件を満たすのであれば、納税猶予をしてもらうことができます。
ただし、納付するまでの日数に応じて延滞税(少なくとも年7.3%の割合)が課されます。
猶予制度は(1)換価の猶予と、(2)納税の猶予の2種類です。
換価の猶予
換価とは財産を売却して納税資金に充てることです。換価の猶予をしてもらうということは、財産の売却を待ってもらえるということです。
換価の猶予が認められるのは、次の1から5までに掲げる要件の全てに該当する場合です。
1.国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること
2.納税について誠実な意思を有すると認められること
3.換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと
4.納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること
5.原則として、担保の提供があること。
納税の猶予
1~5までの要件をすべて満たす場合には納税の猶予を受けることができます。
1.次のAからFまでのいずれかに該当する事実があること
A.財産について、災害を受けたり盗難にあったこと
B.納税者や家族が病気にかかったり負傷したこと
C.事業を廃業したり休業したこと
D.事業について著しい損失を受けたこと
E.上記のAからDに類する事実があったこと
F.本来の期限から1年以上経過した後に、修正申告などにより納付すべき税額が確定したこと
2.猶予該当事実に基づき、納税者がその納付すべき国税を一時に納付することができないと認められること
3.申請書が提出されていること(上記Fの場合は納期限までの提出)
4.原則として、担保の提供があること
仮想通貨の暴落の場合は?
【換価の猶予】
換価の猶予の要件には「納税について誠実な意思」や「納期限から6か月以内に申請書」が要件とされています。
2.納税について誠実な意思を有すると認められること
4.納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること
つまり、当初から申告すべき税額をきちんと計算するという誠実な意思が求められているのです。税務署から督促状がきても無視している、本来支払うべき税額が「あまりにも多額」であるため、税額を低く見積もっている場合等は換価の猶予が認められないと考えられます。
【納税の猶予】
納税の猶予のほうがハードルが高そうです。A~Eは基本的には対象になりません。あるとしたら、Fの修正申告で多額の税額を支払うことになった場合です。
A.財産について、災害を受けたり盗難にあったこと
B.納税者や家族が病気にかかったり負傷したこと
C.事業を廃業したり休業したこと
D.事業について著しい損失を受けたこと
E.上記のAからDに類する事実があったこと
F.本来の期限から1年以上経過した後に、修正申告などにより納付すべき税額が確定したこと
猶予には担保が必要(原則)
原則として、猶予を受けるには担保が要求されます。
担保として差し出すものの価額が、猶予を受けようとする金額に相当するものである必要があります。つまり、税額が多額の場合は、自宅等が担保に取られてしまいます。
ただし、担保として提供することができる種類の財産がない場合等には担保提供が不要ともされているので、不安であれば一度税務署に相談してみることをお勧めいたします。
猶予期間は1年間
猶予を受けることができる期間は最大1年です。
財産や収支の状況に応じ、最も早く国税を完納することができると認められる期間に限られるため、キャッシュ創出能力が高い方は1年も猶予してもらえないかもしれません。
なお、猶予を受けた国税は、原則として猶予期間中の各月に分割して納付する必要があります。
税務署に相談する
納税猶予の要件を満たしそうにない場合、どうしても税金の支払いが難しそうな場合であっても、税務署からの連絡や督促状を無視することはやめましょう。
換価の猶予の条件に記載があった通り、「納税について誠実な意思」を税務署へ見せることで、場合によっては柔軟に対応してもらえる場合があります。
財産を差し押さえられ、売却されるのは最悪のケースです。税務署に相談することでこれらを回避する可能性がありますので、一度税務署へ相談することをお勧めします。
結論
猶予と税務署への相談という2つの方法をご紹介させていただきました。
お気付きになられた方もいらっしゃると思いますが、「免除」ではありません。
納税をあくまで先延ばししてくれるだけです。
仮想通貨同士の交換によって2017年中に所得が発生した場合で、納税資金がない場合であっても、納税自体はしなければなりません。。
納税するために仮想通貨を日本円に換金すると2018年度の税負担が生じるという悪循環もあり得ます。。
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愛知県名古屋市を中心に活動している池下・覚王山の公認会計士・税理士澤田憲幸です。
中小企業のM&A、事業承継、スタートアップ支援を得意としています。
創業間もないベンチャー企業やフリーランスの方のサポートに特に力をいれています。
【主な業務内容】
・スタートアップ支援
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・個別コンサルティング業務
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